ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

岡村淳監督「第三世界の環境都市ブラジル・クリチバの挑戦」と「緑の砂漠か緑の再生か ブラジルのユーカリ植林と日本」

仙台国際センターで、仙台国際センターまつりが行われたので、行ってきました。このまつりでは、色々な国の店が出たり、ワークショップがあったり、イベントがあったりしました。その中で、ドキュメンタリーの上映会があったので、行ってきました。

私が見てきたのは、岡村淳監督第三世界の環境都市ブラジル・クリチバの挑戦」と「緑の砂漠か緑の再生か ブラジルのユーカリ植林と日本」というドキュメンタリーです。上映会は、1000人以上入るのではという大ホールで行われたので、非常に人が疎らに見えました。


クリチバの挑戦」は、秀逸な都市設計で名高いブラジル南部の大都市クリチバを扱ったドキュメンタリーです。上映されたのは、家庭用のビデオで録画されたと思われる、CM入りのビデオ映像でした。内容は、クリチバのバス網、針金オペラ座、市の環境局の取り組み、スラムの子供達のための環境学校の紹介でした。このドキュメンタリーが制作された1996年当時、市の環境局長は、日本人の方で、彼らが汚染された湖での釣り大会や、有毒のクモ、違法な木の伐採、ゴミのリサイクルなどの問題に対処する様子が描かれていました。

この市では、「ゴミはゴミじゃない」をスローガンに、環境保護の大切さを子供に知らしめるために、葉っぱファミリーというキャラクターを使い、環境学校などで劇を行っていました。環境学校は、スラムなどに住む貧しい子供達が通えるように作られた学校で、職業教育も行っていました。


上映が終わった後、この作品を撮った岡村淳監督が壇上に上がり、制作の裏話をお話ししていました。このドキュメンタリーは、一人でカメラを回して撮ったそうで、ヤラセを一切やっていないそうです。ここでのヤラセというのは、文脈的には、ドキュメンタリーで普通行われる再現映像のことだろうと思います。つまり、子供が学校に来る場面を撮りたいときに、その子供に頼んで、カメラを設置してから、打ち合わせ通りに学校に歩いてくる場面を撮るというようなことは、行わなかったということです。

このドキュメンタリーは、朝日ニュースターのために制作したそうです。岡村さんは、元々日本テレビでドキュメンタリーを作っていたそうですが、テレビ局でドキュメンタリーを作る際には、スポンサー筋から色々と口出しされたのだそうです。あるスポンサーの方は、自分はクモが嫌いだから、クモが出てくる場面は削れなどと、無茶苦茶な要求をしたそうです。

そのため、岡村さんは、現在はブラジルに住みながら、テレビ局のためではなく、自分の作りたいものを作っていると言うことです。


次に上映された「緑の砂漠か緑の再生か ブラジルのユーカリ植林と日本」は、日本とブラジルの合弁会社が、紙の製造のために、ユーカリを植林したという内容です。ユーカリは、通常の木よりも成長が早く、短期間でパルプになるので、合弁会社は、ユーカリを植林したそうです。しかし、ユーカリは葉に毒性があり、ユーカリの森には生物が非常に少ないそうです。また、ユーカリは水を大量に吸うので、ユーカリの植林地周辺では、湖や小川の水量が減り、枯れてしまうこともあったそうです。製紙会社がユーカリ植林の有用性を大量の宣伝費で訴える一方、ユーカリ植林の危険性を指摘するNPOの声は、なかなか広がらなかったようです。

このドキュメンタリーは、製紙会社の怒りを買ったらしく、この作品がどこかで上映される予定を聞きつけた製紙会社が、岡村さんはペテン師で、この作品の内容はデタラメなので、上映をしない方が良いというような文書を送ってくるのだそうです。

私には、ユーカリ植林の是非は分かりませんが、企業が、このようなドキュメンタリー作品の公開に、圧力を掛けてくるという話は、驚きでした。


この上映会は、どうもある若者が計画したもので、岡村さんは、自分で当時の番組プロデューサーから上映許可を得て、マスターではない、ビデオを借りて上映したそうです。岡村さんは、東京仙台の交通費の半額しか約束されておらず、後は、カンパで賄うと言っていました。どうも、仙台市は、上映会をやるに際して、お金を出していないようで、そんな無茶苦茶な話があるのだろうかと驚きました。

上映会の後、岡村監督を囲んでの懇談会が行われたようなのですが、私は腹が減って、ご飯を食べに行ったので、参加できませんでした。色々とお面白い話が聞けたでしょうから、大変残念に思いました。