池田晶子氏死去
哲学者の池田晶子さんが、46歳の若さで亡くなってしまいました。(「asahi.com」(「尼克拉斯魯曼全百科」経由))
池田晶子さんと言えば、個人的にはファッション誌「marie claire」上での埴谷雄高との対談を真っ先に思い出します。1990年代の初め頃だったと思いますが、当時の「marie clair」と言えば、荒俣宏や中沢新一、吉本隆明、蓮見重彦などニューアカの巣窟で、かなり訳が分からない混沌とした雑誌だったのですが*1、この雑誌の記事の中でもこの二人の対談は非常にインパクトがありました。もう何を議論し合っていたのかも覚えていませんが、池田さんがギリシア哲学を武器に、あの埴谷雄高と渡り合っていたのを読んで、凄い人もいるものだと思ったものでした。
池田さんは、アカデミズムの世界に属さず、自分でものを考えるという姿勢を貫いた人でした。そういう意味では、哲学業界の外れ者だったといえますが、外れ者ではない哲学者などというのはそれ自体自己矛盾している存在だとも言えるでしょうから、哲学者としては至極真っ当だった方だと思います。
私は彼女の著作の熱心な読者ではありませんが、主張の是非にかかわらず、とにかく凄いと人に思わせるアウラのある文章を書いた人だったように思います。このような凛とした人は本当に希少だと思うので、池田さんがこれほど若くして亡くなってしまったことは、本当に残念でなりません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
*1:この頃の様子が、「おまえにハートブレイク☆オーバードライブ」さんの記事で紹介されています。