ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

2006-01-01から1年間の記事一覧

栗原孝「比較社会変動論ノート」

以前ご紹介したピーター・バークによる社会変動に関するまとめを補足するのに適した研究です。 栗原孝「比較社会変動論ノート I」『経済学紀要』第15巻第3号 亜細亜大学経済学会,1991 栗原孝「比較社会変動論ノート II」『経済学紀要』第16巻第1号 亜細亜大…

『宮台真司ダイアローグズ 1』プレゼントに当たりました。

先日宮台真司 dialogues×blog のプレゼント企画に応募したところ、『宮台真司ダイアローグズ 1』をいただけることになりました。大変面白そうな本なので、嬉しいです。

ようやく史料を読み終える

ここしばらく読んでいた史料をようやく読み終えました。この史料は、通称「異端の懺悔の書 Das Ketter-Bichtbok」という史料で、*1カトリック側が、福音派と再洗礼派をひたすら非難するという風刺詩です。この詩は、同時代にミュンスター住民によって書かれ…

集合行動の社会心理学

集合行動の社会心理学 (ニューセンチュリー社会心理学)作者: 田中淳,土屋淳二出版社/メーカー: 北樹出版発売日: 2003/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る集合行動研究の研究史を最新の動向まで網羅した包括的な本…

集団思考

リスキーシフト(risky shift)は、社会心理学の用語。 普段は穏健な考え方をし、比較的節度を守って行動することのできる人が、大勢の集団の中では、その成員が極端な言動を行なっても、それを特に気に掛けもせずに同調したり、一緒になってそれを主張した…

孤独死の予感

週末に無理をし過ぎたせいか、熱を出してぶっ倒れました。ちょっと無理をすると、すぐに身体に現れると言うところが、なんとも情けないです。予兆はあったので、流動食を買い込んでおり、最悪の事態は免れたのは、不幸中の幸いと言えましょう。私は一人暮ら…

ミュンスターの学費導入反対の学生デモ

You Tube は、立派なもので、ミュンスターで行われた学生デモの動画がありました。ミュンスターでも、それほどみんな熱心に政治行動をするという雰囲気でもありませんでしたが、それでも、日本の学生と比べると、遙かに活動的だとは言えるでしょう。ヨーロッ…

フランドル地方、ベルギー王国からの独立宣言!

みなさん、何とフランドル地方が、ベルギー王国から独立するらしいですよ!!!!(参照:必ず読んで!)ベルギーと言えば、南部のフランス語地域と北部のオランダ語地域で、公用語としての地位をめぐって、争いを繰り広げてきた御国です。周りをオランダ語…

社会変化の単位

歴史学は、基本的に変化を扱う学問なので、社会変化についてのモデルは、歴史学の理論の根幹に関わると言えます。そのためでしょう、この本の最後に社会変化についての章が置かれ、なおかつ中味も非常に濃いと感じました。上のレジュメの記述を見ていただけ…

ピーター・バーク『歴史学と社会理論』第五章レジュメ

読書会で、レジュメを切ったので、載せておきます。 ピーター・バーク『歴史学と社会理論』、佐藤公彦訳、慶應義塾大学出版会第五章 社会理論と社会変化 機能主義から構造主義までの特定のアプローチは、変化を説明することに失敗しているという批判を受けて…

ライフスタイルとしての貧困

「Armut als Lebensform "Ich will Hartz IV werden"」(ライフスタイルとしての貧困「僕ハルツ4*1になるつもり。」)このSüddeutsche Zeitung の記事によれば、ケルン近郊の貧困地区Chorweiler のハウプトシューレに通う生徒の80%は、その後の職業訓練…

おいしいお茶でリラックス

今日は、ルピシアというお茶屋さんにに買い物に行き、お茶を買ってきました。ルピシアは、沢山の種類のお茶があるので、どれを買おうかと迷います。今日買ったのは、ハニーブッシュとダルマというお茶です。ハニーブッシュは、夜飲む用のノンカフェインのハ…

フランクフルト都市内騒乱における発展類型

都市内騒乱の一つの発展類型、とりわけフランクフルトで、すなわち農民戦争地域の周辺部で展開された類型は、あらためて農民運動と市民運動との間接的ではあるが密接な関係を裏づける。すなわち、市民が農民戦争を知った場合、都市内の「社会運動」は三つの…

情報の共有の必要性。

私も、研究会などに行ったら、不完全なものでも、なるべくレポを上げようと思っています。基本は、自分が忘れないためのメモなのですが、他方、少数の専門家がその場で聞いただけで、それ以上情報が広がらないのは、もったいないと思うからでもあります。日…

「アポリアのなかに〜歴史の因果性」レポ

小田中直樹先生発表の公開シンポジウム「アポリアのなかに〜歴史の因果性」のレポートが、「よしのぼり的四方山話」さんのところで上がっていました。私は、残念ながら参加できなかったのですが、歴史学者にとっては、非常に刺激的なシンポジウムだったよう…

もう師走

気が付けば、いつの間にか師走になってしまいました。ついこの間まで夏だったのに、というか、ついこの間まで春だった気がするのですが、この時間の進みの早さは何でしょうか。特にここしばらくは、遅々として読み進まない史料と格闘する日々が続いているの…

都市の職人

このような親方層分解と並行して、親方・職人関係も大きく変化する。すなわち、親方との家父長制的関係の弛緩を象徴するかのように、親方家計内に包摂された未婚の職人以外に、次の2類型の職人が分出してきた。すなわち、徒弟修行後の追加的修行期間−皮鞣工…

米ルーテル教会、再洗礼派迫害を陳謝

米ルーテル教会、再洗礼派迫害を陳謝 2006年11月21日 12時17分 16世紀の欧州でルター派が再洗礼派を迫害したことについて、米国福音ルーテル教会(ELCA)が20日(現地時間)、公式声明の中で謝罪した。世界教会協議会発行の「エキュメニカル・ニュース・…

石部雅亮、笹倉秀夫『法の歴史と思想』

法の歴史と思想―法文化の根柢にあるもの (放送大学教材)作者: 石部雅亮,笹倉秀夫出版社/メーカー: 放送大学教育振興会発売日: 1995/09メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る かれら(ドイツ民法典の学問的基盤を築いた近代市民法…

ドイツの貧困と失業と格差拡大と鬱病

ドイツの経済は、現在上向きつつあり、労働市場も回復しつつあるとのことですが、失業問題が、ドイツの最も深刻な社会問題であることには変わりがありません。私が報道を眺める限りでは、日本が抱えている問題と、ドイツが抱えている問題は、大分共通点があ…

西洋史研究会大会第二日目:共通論題「Nations in Medieval Britain」

二日目は、朝10時から、夕方の5時までという長い時間を使って行われた初期中世のブリテンにおけるネイションを扱ったシンポジウムが行われました。熊本大学の鶴島博和先生が主催し、イギリスとアメリカから研究者4人を呼んで行われました。私は、「研究…

義認についてカトリック、ルター派、メソジストが合意

世界的に進む教会の一致、日本教界の進むべき道は? 2006年09月14日 10時42分 今年の7月末に行われた第19回世界メゾシスト大会で歴史的な合意が為された。カトリック、メソジスト、ルーテル教会代表(キリスト教一致推進評議会議長のヴァルター・カスパー枢…

コピー予定

Scott, T., The German Peasants' War and the "Crisis of Feudalism". Reflections on a neglected theme, in: Journal of eaaly modern history 6, 2002, pp. 265-295. Sreenivasan, G. P., The social origins of the peasants' war of 1525 in upper Swa…

Dat boek van veleme rade, Dil Ulenspiegel, das narren schyff en Reynke de vos

表題の車Rad とはさまざまな車のことであり、それぞれの車はひとつの身分を示す。はじめの五つの車は教皇と聖職者、皇帝と諸侯、貴族、市民、農民であり、これらが水車、歯車、風車、車輪、すき車に当たる。これらの対して別の五つの車が対置される。それは…

西洋史研究会大会第一日目:自由論題発表

この日は、西洋史研究会大会が行われたので、東北大学に行って来ました。一日目のこの日は、自由論題発表が行われました。最初に発表したのは、高千穂大学の岡田秦介先生で、「ヘレニズム期クレタ社会と牧畜−クレタ東部を中心に−」という論題でした。クレタ…

IDC: Anabaptist, Mennonite & Spiritualist Reformation

IDC という出版社から、The Anabaptist, Menonnite and Spiritualist Reformation. The Radical Reformation Microfiche Project. というマイクロフィルムが出ているそうです。価格は何と、10.295ユーロ!!日本円で、150万円くらいです。とは言うものの…

Münzen Lexikon

Münzen Lexikon Schnapphahn Schreckenberger

職人の帰属意識

佐久間弘展「近世ドイツの職人遍歴」(『比較都市史研究』20-1,、2001年、21-38頁) H. ブロイアーによれば、15・16世紀のザクセンでは職人雇用に4類型があったという。第1に親方子息の恒常的雇用、第2に、3〜6ヶ月の長期雇用、第3にシェンク手工業における4〜…

近世絶対主義国家の財政における軍事費

Im Staatshaushalt bildete der Militäretat den bei weitem größten Posten. Um 1700 gab Frankreich 75% der Staatseinnahmen für Rustung und Militär aus, Rußland 85% und Preußen in der Regierungszeit Friedrich Wilhelms I. (1713-1740) um die 80%…

歴研:山本大丙「17世紀オランダのメノー派信徒−商業、神秘主義、聖書中心主義−」

この日に、歴史学研究会ヨーロッパ中世史・近世史合同部会発表があったので、行って参りました。この日は、山本大丙氏による、「17世紀オランダのメノー派信徒−商業、神秘主義、聖書中心主義−」という発表が行われました。この発表では、本来世俗的なこと…