ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

保守主義の歴史とリベラルの失敗

南山大学社会倫理研究所の2004年度第5回懇話会で、中山俊宏氏が「アメリカが保守化した背景およびその外交的インプリケーション」という講演をしたそうです。この講演では、戦後のアメリカの保守主義の歴史が俯瞰されています。 ここで時代をさかのぼって、…

アメリカファンダメンタリズムと「包囲された伝統」

私が、ドーキンスの『The God Delusion』で良く分からないと思ったのは、ドーキンスの宗教に対する強い危機感です。宗教の力がまだ強固な、世俗化がそれほど進んでいない国ならともかく、現在の日本やヨーロッパ諸国で宗教が社会を揺るがすような危険性を持…

対立するのは科学と宗教ではなく、正統宗教とオカルト+科学

実はこういう心霊主義のようなものは、アメリカには植民地時代からわりと多くて、それは定期的に起こる信仰復興運動とは、また別の位相のものとしてずっと存在してきた。理由はよく分からないが、一つ考えられるのは、アメリカにはヨーロッパにおけるような…

ドーキンスの『The God Delusion』の読書ノート

id:shorebird さんが、長らく連載されていたリチャード・ドーキンスの『The God Delusion』の読書ノートがついに完結しました。ノートだけでかなり膨大な量になっています。(私がまとめたリンク)個人的に最も興味深いと思ったのは、やはりドーキンスが専門…

幸福の神義論

幸福な人間は、自分が幸福をえているという事実だけではなかなか満足しないものである。(中略)彼は、自分より幸福でない者が、自分と同じだけの幸福を持っていないのは、やはりその人にふさわしい状態にあるにすぎない、そう考えることができれば、と願う…

長居公園ホームレスのテント撤去

もう数日前になりますが、以前ご紹介した長居公園のホームレスのテントが、市によって撤去されました。 「世界陸上開催の大阪長居公園、ホームレスのテント撤去」(読売新聞) 「旗旗」さんのところで紹介されていたじろりろぽんさんの当日の報告を読むと、…

意図したことが、意図しない結末を反復して生じさせる構造があるかどうか

私たちは常識的には、人間が社会構造を作り上げてきたと考えてきました。親子兄弟夫婦のあいだには「自然な感情」がまずあって、それに基づいて私たちは親族制度を作り上げてきたのだ、と。レヴィ=ストロースはそのような人間中心の発送をきっぱりとしりぞ…

歴史における転轍

社会変化に関わる問題です。(参照:「ピーター・バーク」「栗原孝」) 以上の考察から誘発された用語上の問題点は、より大きな原則、つまり全ての革命は同時に一つの反動を生み出すのであり、それ自体の内部に先例への思い出を秘めている、という原則を考慮…

少佐のお言葉

ミレニアムの少佐と言えば、その含蓄深いお言葉の数々で、多くの衆生の心を捉えて離さない罪なお方ですが、その偉大なるお言葉に狂喜する者たちが、電子空間の片隅で、特異な言葉を泡の如く吐いている様を、心ならずも覗く羽目になってしまいました。人の業…

アイオーンとしてのバロック

昔は、古本屋に行くのが何よりの楽しみで、とりとめもなく本屋を渡り歩き、脈絡もなく本を啄んでいたものでしたが、いつしか古本屋に行くのは楽しいことではなくなってしまいました。自分の研究で、山のように読ま「なければならない」文献が積み上げられ、…