ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

2005-01-01から1年間の記事一覧

光陰矢の如し

少年老いやすく学成り難しとは良く言ったもので、今年一年を振り返ると、そのような年であったように思います。今年も目に見える成果は何も上げることは出来ませんでした。しかし、異国の地で地道に鍛えてきたものが、少しずつ身に付き始めているのではない…

しゃべり倒したクリスマス

24日は、掃除に終始しましたが、クリスマス当日には、友達と晩ご飯をいっしょに食べました。韓国人の哲学者夫妻が、韓国料理をごちそうしてくれると言うことで、日本人の客員教授の方といっしょに遊びに行きました。夜6時頃に行き、色々な韓国料理をおい…

静かなクリスマスイブ

今日はクリスマスイブでしたが、私は、キリスト教徒ではないので、特別なことは何もせず、普段通り過ごしました。ただ、クリスマスが素晴らしいのは、非常に静かなことです。こちらではクリスマスには、絶対に家族と過ごさなければならないと言う鉄の不文律…

ベギン−Devotio Moderna−修道院改革をめぐるコメント

12月15日の「それ修道院じゃなくない?」のコメント覧で、id:chororynさんと、少し長いやりとりをしたので、本エントリーに移しておきます。 chorolyn 『教会関連の用語って厄介ですよね。 ドイツ語ははっきり言ってからきしなのですが…Stiftって英語のc…

暗いドイツの冬

火曜日にゼミの発表の準備を終えたので(前の発表が伸びたせいで、発表は来年にずれこんだので、まだ終わってません)、たまっていたやるべき事を早々に片づけないとと思っているのですが、一向に調子が出ません。発表準備で、体調が悪いにも関わらず、頭痛…

修道院改革に関するメモ

上條敏子 Kamijo, Toshikoi (課程博士:1999.3.26)ベギン運動の展開とベギンホフの形成 すでに出版されている上條さんの博士論文と審査の概要。カトリック中央協議会簡単なカトリック教会の歴史。Devotio Moderna や15世紀のドイツの修道院改革は無視さ…

ミュンスター大学の研究環境は良くない。

私は学生寮に住んでいるのですが、昼間はうるさくてとても勉強にならないので、いつも図書館に来て勉強しています。しかし、図書館がうるさくないかというと、そういうこともありません。図書館も勉強する環境としては、余り良くありません。というのは、慢…

にんげんバトン

猫屋さんから、わざわざ人間バトンというものを渡していただきましたので、有り難く記載させていただこうと思います。1. 回してくれた方に対しての印象をどうぞ。ネットでの書き込みでしか存じ上げませんが、とてもエネルギッシュで若々しい方だという印象を…

それ修道院じゃなくない?

15世紀の修道院改革に関する論文を読みました。*1この論文は、ヴェストファーレンの修道院改革のみを扱っているので、全体像は今一つ分からなかったのですが、修道院改革が必要になった背景が詳しく説明されていたので、非常に参考になりました。修道院改…

反キリスト?アンチキリスト?

「デフェンターのアンチキリスト」についての発表のために、補足説明のため、ベネディクト会の修道院改革に関する文献を集めました。Bursfelder Kongregationは、私はこれまで知りませんでしたが、結構メジャーなようです。自分の無知を思い知ります。一方、…

フランスの騒乱のきっかけを知る

猫屋さんが、余り訪問者がいないと残念がっていたから、というわけでもなく、非常に読む価値のある文章だと思うので、ご紹介します。*1少し前に世界中で大きく取り上げられたフランスの騒乱ですが、今回は、フランス在住者のブログがリアルタイムで、フラン…

デフェンターのアンチキリストのレジュメ

デフェンターのアンチキリストについてのレジュメを書きました。ご興味がある方がいるかどうか分かりませんが、低地ドイツ語−オランダ語の文献ということで、余り日本では紹介されていないと思われるので、特に宗教改革史が専門の方は、読んで損はないかもし…

アンチキリストと中世末の修道院改革

来週の火曜までにレジュメを書かないといけないということで、1524年に出版された「Der Deventer Endechrist (デフェンターのアンチキリスト)」*1についてのレジュメをせっせと書いています。この『デフェンターのアンチキリスト』は、宗教改革初期の…

なんとなく・・・

立ち喰い蕎麦屋に行きたい・・・。そして、天玉蕎麦を葱抜きで頼み、駅のホームで丼を抱え、冬の寒い空気に立ち上る白い湯気を浴びながら、鰹節と醤油の香りのするつゆを最後の一滴まですすりたい。いや、ペンネとか、ピザとか、焼きソーセージとか、魚フラ…

ハンガリーのマリアはゲルダー公を疑っている?

私が研究を進める中で、自分ではできないことは沢山あります。残念ながら私には、語学の才能が絶望的に欠如しているので、語学にはいつも困っています。しかし、この間ブリュッセルに行ったときに写真に撮ってきたハンガリーのマリアの手紙は、フランス語で…

無駄とまではいかないが、それに近い努力

とりあえず一度手書き文書をアルファベットに直したものの、間違いだらけに決まっているので、もう一度見直しています。結局もう一度手書き文書を読み直しているようなものなので、見直しとは言っても、凄く時間が掛かります。すでにアルファベットはほぼ判…

書き起こしが終わった

先週からずっと、ブリュッセルで写真を撮ってきた手書き文書を、アルファベットに書き起こししていました。やはり、専門家にいっしょに読んでもらい、文字のかたちを覚えた後は、それ以前とは見違えるように書き起こしの速度、そして正確性が上がりました。…

久々の新しい研究

今年は、ミュンスター司教領が成立してから1200年ということで、大規模な催し物が色々と行われました。その一環で、5巻からなる大部の司教領の歴史が刊行されています。そして、その第三巻目に、我らが再洗礼派が登場しました。しかも、第三巻の一部分…

歴史学?、どうしてまた?

オランダ史研究会のサイトに、「歴史学?、どうしてまた? ―― ファン・デァ・ワウデ教授の最終講義 ――」という文章があったので、大変興味深く読みました。その中で、次のような主張がありました。 未来への視点を欠いた歴史学は、当然ながら懐古趣味か審美…

オランダ史研究会

オランダ史研究会という研究会があるそうです。オランダと言えば、メルキオール派の本場、ヨハン・マティスやヨハン・フォン・ライデンの出身地と言うことで、私にも非常に縁の深いところです。とりあえず、そろそろ本腰入れて、中世オランダ語を勉強しなけ…

先達たちは亡くなっていく

私はまだ性懲りもなく、Kühlerの使った戦闘可能男性の人数が書いてある史料を探し出したいと、悪あがきをしようとしています。とりあえずミュンスター再洗礼派の専門家に聞いても駄目、文書館に行っても駄目と言うことで、最後に残った可能性は、オランダ再…

ホワイトクリスマスはロマンティックか?

風邪は大分良くなりましたが、ミュンスターはますます寒くなり、今日ついに雪まで降りました。11月中にも関わらず、雪が堆く積もり、周りの景色は真っ白になりました。街では、すでにクリスマス市が始まっているので、ホワイトクリスマスとも言えるのです…

文書を読んでもらう

相変わらず体調は絶不調で、体は重いし、頭はぼけてるし困ります。何もできないほど酷いわけではないけど、やろうとしても身体も頭も動かないと言う、何とも煮え切らない調子です。とは言え、やるべきことはやらなければならないので、昼過ぎに重い身体を引…

デフェンターの反キリスト

でも、今日の授業の後、今度別のゼミの発表に関する本を、先生から無料でもらってしまいました。“Hermann Niebaum, Robert Peters, Eva Schütz und Timothy Sodmann (Hg.), Der Deventer Endechrist von 1524. Ein reformationsgeschichtlches Zeugnis. Teil…

風邪引いた

今週からクリスマス市が始まりました。先週辺りから、もう真冬の寒さになり、くもりや雨、霧の日が続いていたのですが、真冬の訪れと共にクリスマス市もやって来ます。一年で最も気が滅入る季節がやってくるので、何か楽しみを作り出さないと、精神的にやっ…

娼館のあった通りベアリヒ

文書館に行くついでに、ケルンの街もそれなりに見てきました。私は、これまできちんとケルンの街を見たことがなかったので、街中の教会を見て回りました。ケルンは、正直言って、ドイツの街の中でも、かなり町歩きするには向かない街です。その理由は、街中…

ケルンの文書館

Historisches Archiv der Stadt Köln (ケルン市歴史文書館)に行ってきました。ミュンスター再洗礼派研究における最重要史料であるハインリヒ・グレシュベクの目撃記録*1 のオリジナルを見るためです。この史料は、再洗礼派統治の間実際にミュンスター市内で…

ドイツの大学の国際的評価

イギリスの新聞Times が、世界の大学のランキングを発表しているようです。上位は、ハーバード、MIT、オックスフォード、ケンブリッジ、スタンフォードなど、アングロサクソンの大学がずらりと並んでいます。我が日本はと言うと、東京大学が16位に入ってい…