ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ミュンスター固有の条件とは?

ミュンスターで再洗礼派運動が成功した最大の理由は、ベルンハルト・ロートマンという卓越した神学者の存在ですが、(内田的)系譜学的に、もしミュンスターにロートマンがいなかったらどうなったか、あるいは他の都市にロートマンがいたらどうなっただろう…

研究史をたどって。

最近は、博士論文の焦点をどこに当てるかを考えるために、もう一度ミュンスター再洗礼派だけでなく、宗教改革全体の研究史を頭の中で整理しています。そのため、重要研究を読み返したり、未読の理論的研究を読んだりしています。一度読んだ論文でも、何年も…

象徴資本の価値ってなあに?

「私は下流のインテリ。ニューロンをショートさせながら、本、雑誌、ウェブページ、ビラ、請願書、といった何ギガバイトもの情報に目を通すけれど、そこから何かを生み出すこともない、そんなインテリのひとりです。ボディを熱するためだけにめいっぱいの石…

稲葉振一郎『経済学という教養』東洋経済新報社、2004年

経済学という教養作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2004/01/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 119回この商品を含むブログ (112件) を見るこの本は、「素人の、素人による、素人のための経済学入門」だそうです。稲葉先生は、社…

コンビニで酸素が買える?

私は、何とかドイツ語を忘れないように、ネットでドイツのニュース動画を見たりするのですが、Spiegel のビデオニュースで、日本の話題が取り上げられていました。しかも、何と、東京のコンビニで酸素が売っているという話題でした。ニュースで出てきたのは…

経済学を囓ってみる

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)作者: 大竹文雄出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/12/01メディア: 新書購入: 14人 クリック: 139回この商品を含むブログ (110件) を見る この本の目的は、お金がない人を助ける具体的な方…

拷問ラテン語

毎週水曜にはラテン語講読ゼミがあるので、いつも月曜と火曜は、予習のためラテン語の文章を読みます。しかし、私はラテン語は、基礎文法もあやふやな超初心者ですので、予習には死ぬほど時間と労力が掛かり、毎週泣きそうになっています。私はとにかく語学…

カンブリア爆発と、グールド批判

進化の不思議な大爆発 アンドリュー・パーカー『眼の誕生』書評 リチャード・ドーキンス『虹の解体』紹介 河田雅圭『はじめての進化論』第5章2「化石の進化のパターン」 河田雅圭『はじめての進化論』第6章2「現代進化論形成の時代」

系譜学:様々な分岐を考える

スティーブン・ジェイ・グールド『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)』早川書房、1993年 私はその実験を、「生命テープのリプレイ」と呼ぶ。巻き戻しボタンを押し、実際に起こったすべてのことを完全に消去したことを確認…

歴史学と社会理論をどう考えるか?

本日は、院生、学部生の有志で、ピーター・バークの『歴史学と社会理論』の読書会をしました。とりあえず、今日は、歴史学と社会学の関係を、両者が未分化だった18世紀から、歴史学、社会学の学問的方法論の確立により、互いに距離ができてくる19世紀ま…

荷物が届く

ドイツから船便で送った荷物が、二ヶ月ほどかかって、ようやく我が家に届きました。これまで、参照したい文献が手元になかったので、なんとなくやる気が出ませんでしたが、これでようやく完全復帰という感じでしょうか。しかし、とりあえずだいたいの文献は…

日本西洋史学会第56回大会二日目

学会の二日目は、二つの小シンポジウムと、時代毎の部会に分かれて行われる様々な発表が行われます。私は、色々な発表を渡り歩き、終日発表を聞いていました。先ず最初に訪れたのは、小シンポジウム「地域概念としてのヨーロッパ」です。東京外語大の千葉敏…

懇親会

長い間講演を聞いた後で、懇親会が開催されました。ちなみに懇親会の参加費は6000円という目の玉が飛び出そうな金額であり、貧乏な大学院生お断り(金のある院生大歓迎)を意味するのではないかと邪推したくなるくらい高かったです。*1しかし、私は、何…

公開講演「世界史とヨーロッパ史」

先ず土曜日に行われたのは、大講堂で行われた公開講演です。この講演は、4人が発表しました。2人はそれぞれ1時間ずつ、もう二人はそれぞれ30分ずつ講演を行いました。首都圏で開かれたせいか、非常に数多くの聴衆が詰めかけたため、一回の大講堂は満員…

日本西洋史学会第56回大会一日目

千葉大学で日本西洋史学会があったので、私も行ってきました。日本西洋史学会は、日本の西洋史関係の学会としては最も規模の大きなものであり、西洋史業界では、一年で最大のイベントと申し上げてよろしいかと思います。このブログを読んでいる方の中でも、…

これからの歴史学の行く末は?

歴史学は、これからどうなっていくのでしょうかというのは、多かれ少なかれ皆考えていることではないかと思いますが、KBさんがそのようなことを書いていらっしゃったので、ちょっと乗ってみます。 私は,Slack先生にぶつけたのと同じ質問をしてみた.「今後…

ドイツ人になるにはトリビア的知識が必要?

日本では余り取り上げられていないような気がしますが、現在ドイツで、国籍取得の際にドイツ、民主主義についての知識を問う試験、そしてドイツ語の試験を課すという動きが出ています。(参照)以前どこかの新聞のサイトで、試しに試験ができるという遊びが…

尾田栄一郎『ONE PIECE vol. 41』

ONE PIECE 41 (ジャンプ・コミックス)作者: 尾田栄一郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/04/04メディア: ペーパーバック購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (179件) を見る日本に帰って読みたい漫画と言えば、やはり筆頭は『ONE PIECE』とい…

フランスでの歴史学を取り巻く状況

感性の歴史学―社会史の方法と未来 (神奈川大学評論ブックレット)作者: アランコルバン,橘川俊忠,的場昭弘,神奈川大学評論編集専門委員会,渡辺響子出版社/メーカー: 御茶の水書房発売日: 2000/02メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を…

小田中直樹『歴史学のアポリア』

小田中直樹『歴史学のアポリア―ヨーロッパ近代社会史再読』山川出版、2002年この本は、大塚久雄などの比較経済史学派やその後の近現代史の変化に焦点を当てながら、歴史学の社会的有用性や方法論について書いた本です。私がこの本を読みながら思ったのは…

怪文書を書いてみたい?

うちの大学の研究室に、以前怪文書が届いたようで、周りの皆様方が熱心に読んでおられるようでした。私は中味は読まなかったのですが、見た目からして、何か異様な雰囲気が漂っている文書でした。本文も、ところどころ赤い字で書かれていたり、文字の並びが…