ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

中国で研究

中国に留学している友人と久々に電話で話しました。彼によれば、歴史学に関しては、やはり共産党の見解を否定するようなことをあえて書く人は少なく、公式見解の繰り返しのようなものが多いとのことでした。また、中国では、他人の研究の剽窃、雑誌への二重…

シンポジウム「再洗礼主義の境界:国際的再洗礼派研究のパースペクティブ」

つい、この間の8月23日から27日にかけて、ゲッティンゲン大学で再洗礼派研究の国際シンポジウムが開かれていたそうです。日本からの発表者は誰もいませんが、これは国辱的なので、近い将来、我々もこのようなシンポジウムに呼んでもらえるように、研究…

見えない人々

相変わらず延々と史料を読むだけの毎日が続いているのですが、何故ただ文字を読むだけで、これほどまでに心身共に疲弊するのか不思議に思います。私が今、主に探っているのは、ミュンスターにおける宗教改革運動の支持者についてです。史料に出てくる単語一…

あなたのサイトは男性向け?女性向け?

ラスカルの備忘録さん経由で、Microsoft adCenter Labs というサイトを知りました。このサイトでは、あるサイトやキーワードを見た人が、男性なのか女性なのか、またどのくらいの年齢なのかを知ることができます。自分のサイトのことはさておき、他のサイト…

経済格差が拡大するアメリカで、何で民主党支持が広がらないのか?

竹中正治*1「米国の拡大する所得格差と政党選択のねじれ現象〜所得格差の拡大はなぜ民主党への支持を増やさないのか?〜 」 (socioarc 経由) このレポートは、長い間アメリカにおいて見られた所得格差拡大と再分配をより重視する民主党支持の正の相関関係が、…

羽田正「有用な歴史学」と世界史

羽田正「『有用な歴史学』と世界史」(『UP』400、2006年2月、1-6頁)。 国民国家「フランス」や「ドイツ」は、一九世紀はじめの段階ではまだ実現すべき目標だった。ところが、「フランス」や「ドイツ」の歴史を書こうとすれば、過去において「フランス」や「…

少数派の生き残り策

部外者には良く分からない理由があるのでしょうが、ずいぶん前から複数のブログを巻き込み延々と続いているアメコミ論争があります。現在は、稲葉振一郎さんのブログで継続しているようです。私はこの議論は真面目に読んでいないので、把握していませんが、…

ロマン主義とアイロニカルな態度

限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学作者: 宮台真司,北田暁大出版社/メーカー: 双風舎発売日: 2005/10/22メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 82回この商品を含むブログ (128件) を見る この本は、著名な社会学者宮台真司と北田暁大の対談集です。…

プリクラと回転寿司

今日は、ロシア人の友人が故郷へ帰るということで、いっしょに最後の昼食を食べました。彼女ともう一人、中国の方も来ていて、最後だからと3人でプリクラを撮ることになりました。若い女性である二人と異なり、近年の若者文化に縁がない私は、昨今のプリク…

歴史の天使

杉村靖彦「証言から歴史へ − 対話の臨界に立って −」 ベンヤミンにとって、事件史しか叙述しないということは、歴史学のレヴェルでの不十分性のゆえに問題なのではない。事件史とは単に歴史の表層であるだけでなく「勝利者の凱旋行進」であって、敗者を踏み…

失われたもの

史料を読んでいてつくづく実感するのは、ここに書いてあることは本当に信頼性に乏しく、そして量的に極わずかだということです。当時の社会のほとんどの情報は、誰にも書き留められることなく、永遠にこの世から姿を消してしまったのです。だから、後世の人…

16世紀の個人学校

ずっと断片的にしか読んでいなかったケルゼンブロッホというカトリックの学校の校長先生が書いた年代記のドイツ語訳を最初から読んでいるのですが、自分の研究と直接関係ないところでも、面白い記述がてんこ盛りで、史料を読み始めると、検討したいテーマが…