ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

情報の共有の必要性。

私も、研究会などに行ったら、不完全なものでも、なるべくレポを上げようと思っています。基本は、自分が忘れないためのメモなのですが、他方、少数の専門家がその場で聞いただけで、それ以上情報が広がらないのは、もったいないと思うからでもあります。日々、数多くの歴史学関係の研究会や学会、シンポジウムが行われていますが、その発表や討論の内容は、本当に極一部の人にしか伝わりません。しかし、西洋史を専攻する学部生や院生、他地域の参加できなかった研究者、その研究分野に興味を持っている他専攻の学生や研究者、あるいは一般の歴史愛好家など、その研究に興味を持っている人は、他にもいるだろうと思います。現在は、一度データをネット上に上げれば、Google などの検索エンジンを通じて、簡単に情報を検索できますので、その研究を必要な人がいれば、容易に届く可能性は高いと思います。

研究成果の社会への還元を考えた場合、たとえば、主催者が、研究会や学会発表の後、発表者からレジュメの原稿をpdf ファイルに変換して、常時ダウンロード可能な状態にしておくと言うことが、ベストではないかと思います。また、メンバーが流動的で、サイトの管理者を置くことが難しい小規模な研究会であれば、発表者本人が、自分のサイトで、自分の発表原稿を公開することができると思います。そのサイトに、更新ページとしてブログを組み込み、トラックバックできるようにすれば、参加者のレポが自動的に集まってくるので、さらに便利だろうと思います。個人的には、膨大な時間と労力を掛けたであろう発表が、ごく少数の人の目にしか触れないというのは、効率が非常に悪いのではないかと思います。多くの専門的な知見がネット上に上がり、自分には見通しが付かない研究分野の知見が、検索エンジンを通じて、手軽に得られるようになれば、専門の研究者間の情報共有がより容易に、迅速に、効率的に進むと思うのですが。

また、今後西洋史の研究成果を社会に還元することを考えれば、ネット上に、様々な情報を上げることは、必要不可欠になってくるのではないかと思います。必要な人に、必要な情報を確実に届けるということを考えれば、現在は、本や雑誌よりも、ネットの方が効率が良いと思います。今後、人々の興味関心という希少なリソースを奪い合う競争が、益々激しくなると思います。西洋史の専門的な知識を得ようとする人は少ないとは思いますが、だからこそ、きちんとそのような人たちに情報が伝わることを考えないとマズイのではないかと思います。西洋史学会も、このような貴重な需要を逃さないように、興味を持った人が、ある程度の情報まで、すぐに到達できるだけの情報を、検索エンジンに引っかかる形で用意しておくなど、消費者の利便性に配慮することも必要なのではないかと思います。

そのため、私は、自分用のメモも兼ねてですが、リスクだけはあり、メリットは全くないながらも、活字にならない研究会などは、なるべくレポを書いて、検索エンジンに引っかかる状態にしているわけです。全国に西洋史の学生、研究者は非常に数多くいるのですが、みなさんお忙しいと思いますが、もっと沢山の人がサイトを作ったり、ブログでもやって、研究情報をネットに上げることは、研究促進の観点からも、公共的観点からも、業界の利益という観点からも、実は結構重要なのではないかと思うのですが、どんなものでしょう。