ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

排除系オブジェ

重森さんのブログで、大阪の長居公園のテント村が、行政により強制的に排除されようとしていることを知りました。

重森さんも、人事だとは思えないと書いていますが、私も全く同感です。博士課程の学生と言えば、「末は博士かフリーターか」という標語を作りたくなるくらい、フリーターやニートと近い存在ですので、私が将来ホームレスになる可能性は、洒落にならないほど高く、ホームレスの方々の身に降りかかることは、全く人事とは思えません。

最近非常に気になっているのが、所謂排除系オブジェです。排除系オブジェとは、たとえば公園のベンチでホームレスが寝れないように、ベンチの真ん中に付けられた柵のような、人々をその場所から排除するために作られたオブジェのことです。この排除系オブジェの写真は、「ベンチの仕切り研究会」さんのサイトで、沢山見ることができます。

仙台でも、街の中心部にある地下通路のベンチに、昨年排除系オブジェが設置されました。しかも、排除系オブジェだけでなく、真夜中に大音量で音楽を流すという念の入り方です。排除系オブジェが設置されるまでは、この地下通路では、ホームレスの方々が寝泊まりをしており、悪臭が漂うこともあったので、行政が設置したのでしょう。この排除系オブジェが設置されてからは、ベンチで横になることは不可能になり、ホームレスが寝泊まりすることはなくなり、市民が、大変清々しく通路を利用できるようになりました。

これは、東浩紀さんの言う環境管理型権力の典型例だと思います。現在の社会構造の中で、ホームレスが一定数出ることは必然だと思いますが、とりあえず目に付く場所からは排除して、後は野垂れ死ぬなり何なりしてくれというのが、現在の主流の対応でしょうか。現在の社会で、ある場所を追い出されたとして、その後受け入れ先があるはずはないので、様々な場所で延々と排除が繰り返されるだけだと思うのですが。そのような対応を見るに付け、公共性とは果たしてどのように実現可能なのかということを、考えこまざるを得ません。