ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

必要なくなる製本技術

海外から19世紀末に出版された古い本を買ったのですが、まだ裁断もされていない本でした。このままでは読めないので、製本をしてくれる業者を捜しました。ネットで調べて何軒かに電話したのですが、ハードカバーの製本はやっていないとか、厚すぎるからできないと断られてしまいました。そのため、仕方なく大学の図書館で業者さんを紹介してもらいました。

私が紹介された業者は、大学図書館の製本を専門に扱うところで、普通の民家で経営を行っていました。お父さんの後を継いだそうですが、最近は仕事もめっきり減り、手仕事で製本する業者は仙台でも数件になってしまったそうです。話を聞いて驚いたのが、最近大学で雑誌を買わなくなっているので、仕事が減っているという話です。文系ではまだ学術雑誌の電子化はほとんど進んでいないと思いますが、理系では、紙の雑誌はどんどん減っており、電子ジャーナルに取って代わられているのだそうです。そのため、製本の仕事もどんどん減っているのだそうです。

この業者さんは、表紙の文字も活字を使って刻印するなど、職人技で製本をしているのだそうです。私も、表紙の材質から、文字から、本の綴じ方、のどの付け方、ドイツと日本の本の紙質の違いなど、色々なことを説明していただき、良い感じで仕上がりそうだと思いました。

ただ、一応お弟子さんは何人かいるそうですが、何分仕事が減ってきているので、今後は厳しいという感じのことをおっしゃっていました。私は、今後も未製本の史料を買ったりする機会がないとも限らないので、ぜひ続いてほしいものだと思いました。