ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

高学歴ワーキングプア

hamachan先生のブログで、水月昭道高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院』 (光文社新書) という本が紹介されていました。

大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わん都執念を燃やす"既得権維持"のための秘策だったのである。
折しも、九〇年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。就職難で行き場を失った若者を、大学院につりあげることなどたやすいことであった。若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、大学市場を支配する者たちだった。


これまでネット上では博士課程の学生の悲惨さについては色々と述べられてきましたが、このような一般向けの本で紹介されるのは初めてではないでしょうか。

内容は読まなくても想像は付きますが、博士課程の学生を絶望のどん底に突き落とすような内容であることは間違いがないでしょう。私も現実を認識するために読んだ方が良いんだろうけど、読んだら間違いなく酷く落ち込むでしょうから、余り読みたくはないです。明日は我が身・・・・・

最近は就職状況も良くなりましたし、大学院生の悲惨な現実が良く知られるようになってきたので、大学院に進学する学生がめっきり減っているように思います。特に人文系の博士課程には希望が全くないので、広く世の中に現実を知らしめ、これ以上の犠牲者を出さないようにすることは必要不可欠であるかと思います。その結果大半の大学院の定員が埋まらないようになり、大学院の数が適正規模まで減少するのが、日本社会にとって最善だろうと思います。


参考

高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)