ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

クリスマス(2) クリスマスプレゼント

しかし、クリスマスマルクトは、クリスマス当日まで続くわけではなく、だいたいイブの数日前に終わってしまいます。今年は23日までやっていましたが、昨年は確か21日くらいで終わりだったと思います。いずれにせよ、街が賑やかな喧噪に包まれるのは、クリスマスの前であって、当日は祝日なので全ての店が閉まり、街はほとんど無人になり、静まりかえります。


日本ではクリスマスというと、恋人同士がいっしょに過ごす日というイメージがありますが、ドイツでは恋人同士ではなく、家族と過ごすのが決まりのようです。これは自由意志というよりも義務的なものであるらしく、家族を離れ遠方で暮らしている人々も、クリスマスには帰省し、家族と一緒にクリスマスを祝うのです。

ミュンスターはドイツ屈指の大学町で、人口20万人強なのに、大学生は4万人を越えるという学生率の非常に高い街です。そのため、昨日(金曜日)の夕方にバスに乗ると、これから帰省するであろう、大きな荷物を抱えた学生達で、バスは一杯になっていました。


昨日は、クリスマス前で店が開いている最後の日という事で、町中はクリスマスプレゼントを買い求める客で大にぎわいでした。CD屋に行っても、本屋に行っても、レジの前には長蛇の列ができ、贈り物用に包装してもらっている人も沢山いました。

私も、クリスマスということで、自分へのプレゼントという感じで、少し散財をしようかと、本屋でおもむろに面白そうな本を買ってしまいました。私が買ったのは、Wartberg Verlag という出版社の『Münster. Fotografien von gestern und heute』(『ミュンスター。写真で見る今と昔』)という本です。

この本では、ある場所の昔の写真と、今の写真を並べ、この百年ほどで、どのように街の景観が変わったのかが、一目で分かるようになっています。私は、昔の写真自体好きですし、今と昔でミュンスターがどう変わったのかについても興味があるので、思わず買ってしまいました。

この本を見ると、ドイツの都市において第二次大戦の連合国軍による爆撃が、どれほど凄いものだったかが良く分かります。というのは、街の中心部の建物や施設は、ほとんど全て第二次大戦で破壊され、元通りに復元されなかったものが多いからです。

ミュンスターの市立博物館の展示を見ると良く分かるのですが、ミュンスター市内は、第二次大戦の際に、ほぼ完全に灰燼に帰しています。これは比喩でも何でもなくて、文字通り、ほとんどの建物が破壊され、無傷で残っている建物がほとんどないという状態だったということです。

ですから、ミュンスターの町並みは表面的には結構古い感じですが、実際にはほぼ全て戦後に立て直され、あるいは大規模に修復された、非常に新しいものです。これはミュンスターだけに当てはまることではありません。ドイツの都市の景観の歴史を考えた場合、第二次大戦の無差別爆撃による都市の全面的な破壊の影響は、非常に大きいと思います。

でも、戦前は煉瓦造りの良い感じだった建物が、戦後の再建で、モダンでしょぼい建物になったという例がかなり多かったことが、この本を見て分かりました。ミュンスターの駅舎も、今は味気ない近代建築ですが、昔は煉瓦立ての立派な建物だったんですよね。それを考えると、少し残念な気がします。

と、長々脱線してしまいましたが、昔のミュンスターはこんな感じだったんだということが色々分かり、とても面白い本でした。