ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

混沌のドイツ連邦総選挙速報

先週日本でも衆議院の総選挙が行われましたが、今週はドイツで、連邦議会の総選挙が行われました。まだ確定ではありませんが、大勢は決したので、結果を速報します。

  1. CDU/CSU (キリスト教民主同盟 / キリスト教社会同盟) (35.0%, 2002 年比-3.5%)
  2. SPD (社会民主党)(34.1%, -4.4%)
  3. FDP (自由民主党)(10.0%, +2.6%)
  4. Die Linke(左翼党) (8.6%, +4.6%)
  5. Grüne (緑の党)(8.2%, -0.4%)

シュレーダー首相が、SPD の牙城だったノルトライン・ヴェストファーレン州の州選挙で惨敗を喫し、苦し紛れの解散総選挙に打って出た当時は、ほとんどの人が、政権交代を予想していました。また、事前の調査でも、CDU / CSU が勝利し、アンゲラ・メルケルが首相になるだろうと予想されていました。

しかし、蓋を開けてみれば、CDU / CSU は、前回の総選挙より得票率を減らし、わずかにSPD を上回り、第一党を確保したものの、実質的な敗北を喫しました。連立相手のFDP が勝利したにも関わらず、合計で45 %と過半数に手が届かず、難しい選択を迫られる状況に陥りました。

一方のSPD も、予想よりは健闘したものの、議席を大幅に減らしたことには変わりなく、連立相手の緑の党を合わせ、42.3% と、過半数には遠く届きませんでした。

今回台風の目になったのが、旧東ドイツで大きな支持を得たDie Linke です。PDS (民主社会主義党)は、これまで5%の壁を超えられず、連邦議会議席をほとんど得ることが出来ませんでしたが、今回は、SPD を離党したOskar Lafontaine (オスカー・ラフォンテーヌ)が合流したこともあり、連邦議会議席を得ることになりました。

黒−黄連立(CDU / CSU, FDP)も、赤−緑連立(SPD, Grüne)も、共に過半数を得られなかったため、今後、どの党とどの党が連立するかで、熾烈な交渉合戦が行われることになります。すでに、駆け引きは始まっており、テレビでも、果たしてどのような連立政権が出来るかが議論されていました。

現在のところ、大連立、つまりCDU / CSUSPD が連立を組むことになる可能性が、比較的高そうですが、シュレーダー首相が、メルケルが率いる大連立は認めない、自分が今後も首相を続けるのだと、とても敗者とは思えないハッタリをかますなど、先行きは不透明です。

いずれにせよ、どのような連立政権ができるにせよ、呉越同舟の政権になることは間違いがないので、政権運営は、困難を極めると予想されます。

小泉首相の圧勝で、改革の貫徹が可能になった日本と、極度の接戦で、難しい政権運営を迫られるドイツと、選挙結果は、見事にまでに対称的なものになりました。日本では、小泉政権の余りの圧勝に、危機感を募らせている人も多いようですが、ドイツでは逆に、連立政権内での意見の取りまとめが出来るのかどうか、心配しなければならないような状況になっています。どちらが良い結果を生むのか、難しいところです。

今後しばらくは、政党間の熾烈な交渉合戦が行われるものと思われます。果たして大連立は成るのか、それとも思わぬ連立が実現するのか、またアンゲラ・メルケルが首相になるのか、それともシュレーダーが首相に残るのか、先行き不透明なドイツの状況は、今後も注目せざるをえません。