ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

子供は理由もなく走り回る。

ブリュッセルでは、毎日朝から夕方まで文書館にいたので、市内はそれほど見て回れなかったのですが、お昼時や文書館が閉まった後(4時半)などに、暇を見て、街を歩いて回りました。

文書館から少し離れた丘の上には、ブリュッセルというか、ヨーロッパ最大級の巨大建築であるベルギーの最高裁判所が建っています。裁判所前の広場の端は切り立って高台になっており、そこからはブリュッセルの街が一望できます。

私が広場の手すりまで行き、風景を眺めていると、何やらもの凄く騒々しい子供の声が聞こえてきました。何かと思って声がする方に行ってみると、建物の間にある中庭で、沢山の子供が走り回っていました。この建物は小学校で、どうもその時は、休み時間だったようです。

この中庭は、日本の学校の校庭とは異なり、非常に狭く、しかも下がコンクリートなので、遊ぶのに適しているとは言えないところです。ましてや、狭い中庭に大勢の子供が遊んでいるのですから、凄い人口密度になっており、遊ぶのは大変だと思います。

そんな狭い中庭で、子供が何をして遊んでいるかといえば、彼らはとにかくひたすら走り回っていました。彼らは、必ずしも鬼ごっこをしているというわけでもなく、特に意味もなく、人と人の間を縫って、ひたすら走り回っていました。そして、彼らは走り回っている間、これもまた意味もなく、ずっと叫び続けていました。彼らの叫び声が、四方を建物で囲まれた閉鎖空間の中で反響していたので、上にいた我々の所では、何ももの凄い騒ぎ声のように聞こえたのでした。私以外にも沢山の人が、いったい何事かと思って、下をのぞき込んでいました。

以前アムステルダムに旅行し、国立歴史博物館の中庭に座っていたときも、突然子供が走り出すのを見かけました。どうも小学校のクラスが博物館を見学したようで、2〜30人の子供が何人かの大人といっしょに博物館から出てきました。子供たちは、博物館のガラス扉から外に出た瞬間、誰からともなく、突然走り始めました。その中庭も広くはなかったのですが、全く脈絡もなく、何十人もの子供が叫びながら、縦横無尽に走り回る様には、当時唖然とさせられたものでした。

おそらく、彼らは、エネルギーが余って余って仕方がないのでしょう。だから、その有り余るエネルギーを持て余し、全く意味もなく、ただひたすら駆け回るのでしょう。日頃薄暗い屋内で、目をしょぼしょぼさせて、ひたすら文献を読み続け、心身共に疲弊衰弱している私の目には、子供たちの溢れるばかりの生命力は、眩しく映ります。

とは言え、私は傍観者なので、そのような呑気なことを思っていられますが、あの溢れ出すエネルギーが生み出す無秩序状態を統制しなければならない先生方は、ずいぶんと大変な思いをされるのだろうと思います。