ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

極右のデモはガチ

はてさて、日頃学生に刺激がないと陰口を叩かれるほど平和な街ミュンスターも、今日ばかりは一味違いました。今日は、極右の方々がデモ行進を行うということで、市内中心部のバス乗り入れが中止され、駅周辺には大量の武装した警官が配備されるなど、物々しい雰囲気になりました。

今日の私は、ライン川沿いの街Wesel (ヴェーゼル)に行くため、このデモを詳しく見ることはできませんでした。それについて、少し残念だなと思いながら、バスで朝9時半ごろ駅に着くと、駅前はもの凄いことになっていました。

駅前、そして駅前の大通りの反対側には、旗を持ったり、禍々しい格好をした若者が沢山たむろしており、緑色の服を着た警官があちこちに立っていました。この若者たちは、大層ハードコアパンクな感じの格好、つまり黒や赤などを基調とした服装や赤や緑や青に染めたり、逆立て、尖らせた髪をしていました。それ以外にも、余り日頃見かけることがないような格好をした方が、大層沢山いらっしゃいまして、駅前に集まっていました。

しかし、彼らが皆極右の若者なわけではなく、その場には、反ナチズムのデモに参加するための若者も集まっていました。しかし、たとえば反ナチスのTシャツを着ていた若者とその友達も、極右のようなハードコアな格好をしており、見ただけでは、両者の区別は余り付きませんでした。いずれにせよ、その場にいる人たちの大半は、絶対に目を合わせたくない雰囲気を漂わせる人ばかりでした。

私は、面白そうなら、出発を遅らせて、ちょっとデモを見ても良いかなと思っていたのですが、その場の張りつめた空気を感じ、「こりゃガチでヤバイ」と思ったので、素直に素通りしました。何分私は外国人なので、このような人々を前にすると、危機感を感じざるを得ません。

この時、駅の正面入り口のガラス扉は一カ所を除き全て封鎖されており、開いた扉の両脇には、多くの警察が立っていました。彼らは、極右の人々が駅に入らないように見張っていました。また、駅のホームから入り口に続く通路にも警官が立って、街中に出ようとする人々を見張っていました。

私は以前アウクスブルクで、アウクスブルク宗教和議の450周年式典にたまたま居合わせたことがあります。その時は、ドイツの高位聖職者たち、CSU 党首のエドムント・シュトイバーや、連邦大統領のクーラーなどの錚々たる要人が出席するということで、もちろん沢山の警官が警備のために配備されていました。

しかし、実際には、その警備はいたっていいかげんなもので、大統領の出待ちをしている無数の野次馬を適当に静止しているだけでした。野次馬はかなり大統領に近づけるところまで接近できたので、銃などを持って、本気で暗殺する気なら、成功してもおかしくなさそうな感じでした。そもそも、出待ちの最中、警官たちも、野次馬と時に談笑したりするなど、とても危機感があるように見えず、大統領の警備が、こんなもので良いのだろうかと、他国の事ながら心配したものでした。

しかし、今回のデモに配備された警官は、かなり武装しており、その顔つきも真剣そのもので、当然談笑なども全くありませんでした。その様子を見ても、このデモが、非常に緊迫した雰囲気の中で行われることが感じられました。

肝心のデモですが、私は電車に乗ってヴェーゼルに行ったので、見ておりません。そのため、Westline のニュースの翻訳で、ご報告に代えさせていただこうかと思います。

3000人が極右に対し抗議−逮捕者も

ミュンスター(dpa)−ミュンスターで土曜日、約120人の極右によるデモに対し、警察の発表によれば、3000人を越える人々が抗議を行った。

何人かの反デモ参加者は、ビンや卵を警察官に投げ、逮捕されたと、警察の広報担当者は語った。また、集会の指導者を含む、数人の極右も、合計19人の逮捕者に含まれるとのこと。

その極右は、ある公務員女性に対し、反デモ参加者を押してぶつけたと、広報は語った。その女性とデモ参加者は、地面に転倒し、怪我を負った。そのため、集会の責任者が逮捕された。約300人の反デモ参加者は、右翼のデモを座り込みによるバリケードで邪魔しようと繰り返し試みていた。

2006年2月18日土曜日 dpa


たった120人の極右のデモを邪魔するために、それを遙かに上回る人々が集まるというのは、私の目からすると、少々大人げないようにも見えます。この程度のことは、放っておいて、無視した方が、影響力が広がらなくて良いのではないか、その方がスマートな対応ではないかと思わないことはありません。すでに州議会に議席を持つほどの勢力になっている旧東とは異なり、ミュンスターでは、極右は取るに足らないほどの勢力しか持っていないようです。警察が付いて、暴力行為などを行わないようにすれば、一般市民は放っておいたところで、特にどうということはないはずです。

ヨーロッパの方々を見ていると、風刺画の問題に対する対応などもそうかもしれませんが、少々大人気がないのではないかという位の強い主張を行い、あえてことを荒立てることを辞さないということがままあるようにと思います。私は、無用に事を荒立て、余計な厄介を抱え込むというのは、余り賢いやり方ではないと思う一方で、そのような態度によってしか守れないものというのも、確かにあるのだろうとも思うのです。


あと、さらに知りたい人のために