埴谷雄高『死霊』一章−三章
- 作者: 埴谷雄高
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/02/10
- メディア: 文庫
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この味気ない生活にも、何か癒しが必要だろうということで、埴谷雄高の『死霊』を読んでいます。内容は良く分かりませんが、別に分かる必要もないので、余り深く考えずに堪能しています。近年、無味乾燥で形式の決まった社会科学の論文ぐらいしか読んでいないので、哲学書やこのような文学書を読むと、その色々なものをすっ飛ばしていく早さと大胆さと、因果の縺れ、絡み合いのうねうねさ加減に感心させられます。
以前第五章までは読んでいたはずですが、内容を全く忘れていたので、最初から読み直しています。見事なまでにほとんど全く覚えておらず、始めて読むのといっしょです。
内容は、現在の世の中では絶滅しているようにも思えるような、極度に物思いに沈んだ青年達が、観念論を戦わせるというものです。物語は、あるようなないような感じです。非常に勿体ぶった台詞や描写が多いので、少々滑稽に感じられるというところがないわけではありませんが、やはり、このような滋味と含蓄溢れる、荒唐無稽な文章を読むことは、大いに癒しになるし、感覚の毛穴を閉じないようにするために必要なことだと思います。せっかくの虚構なのだから、これぐらいやってくれても、やりすぎと言うことはないでしょう。やはり、このぐらい味わいがあると、文学を読むという行為も豊饒なものだと思います。埴谷雄高カッコイイ!まだ、半分しか読んでいないので、先を読むのが楽しみです。