ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

ドイツの貧困と失業と格差拡大と鬱病

ドイツの経済は、現在上向きつつあり、労働市場も回復しつつあるとのことですが、失業問題が、ドイツの最も深刻な社会問題であることには変わりがありません。私が報道を眺める限りでは、日本が抱えている問題と、ドイツが抱えている問題は、大分共通点があるように思います。

「BÜRGERTUM VS. UNTERSCHICHT: Arbeitslos? Selbst Schuld!」(市民層対下層民:失業?自己責任だ!) は、Spiegel の大変夢のある記事です。80年代に失業率100万人の大台に乗って以降、現在のドイツでは、失業者は400万人以上に増えました。失業してから一年以内に職を見つけられるのは3分の2で、残りは長期失業者になるのだそうです。一方、80年代には失業者は社会の矛盾の犠牲者として同情的に見られていたそうですが、現在は、中上層市民によって、"Sozialhilfeadel"(社会保障による貴族)で、Disziplinlosigkeit (無規律), Zukunftsvergessenheit (未来忘却), Alkoholismus (アル中)と見なされ、もはや同情もされないということです。

「Mangelware: Einfache Jobs」(品薄商品:単純労働)は、Frankfurter Allgemeine の大変夢に溢れる記事です。1975年には、職業教育を受けていなくても就ける職が910万あったそうですが、2004年には420万になり、今年は380万まで減ったそうです。そのため、職業教育をきちんと受けていない人は、職をなかなか見つけられなくなり、就業可能な未熟練労働者の失業率は、1975年の7%から、2004年には22%に増えたそうです。

「Wenn Arbeit krank macht "Dieses muss ich machen, jenes und das auch noch" 」(もし仕事のせいで病気になったら"これもしなきゃならない、あれも、それもまだ")は、Süddeutsche Zeitung の、これまた夢一杯の記事です。EU の就業者の29%は、慢性的に時間に追われている圧迫感を感じているそうです。14時間を超える長時間労働で、心身共に疲労が溜まり、最後には鬱病になってしまう危険性を指摘していました。

どれも、日本でも同じ事が当てはまりそうな内容で、我々は本当に、夢溢れる世界に住んでいるものだと思う次第です。