ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

社会学と社会理論のための──『年報 社会科学基礎論研究』

社会科学基礎論研究会が発行している『年報 社会科学基礎論研究』掲載の論文の概要を、ネットで読むことが出来ます。

〈奇妙な棲み分け〉の背後へ――実証主義から現象学へ――
張江洋直

はじめに
1.実証主義と社会調査
2.実証主義パラダイムの構成
(1) 実証主義の原像――コント社会学
(2) 実証主義の蒸留――シェーラーの知識社会学
(3) 自然科学という聖域――〈奇妙な棲み分け〉の原像
3.実証主義形而上学――パラダイムとしての〈知の進歩史観〉――
おわりに

社会学的研究における資料の位置と意味
井腰圭介

問題の所在
1.社会学的研究の要件の仮設
2.資料操作に顕在化する方法論的な諸問題
3.「社会研究の論理学」としての社会調査の意義と課題
4.研究事例の特質と意義―認識欲求と資料の相関性―
5.研究の起点としての問いの性質―意味と可能性という2つの焦点―
6.資料操作としての強調と価値の現象形態としての解釈
7.資料に基づく社会学的な回答の仕方がもつ意味
8.結論

アメリカ社会学における理論と調査
鈴木健

はじめに
1.パーソンズ社会学における理論と調査
2.シカゴ社会学における理論と調査
3.ハーバード社会学における理論と調査
4.アメリ社会学における理論と調査
まとめ

社会調査論のパラダイム転換と社会調査のリアリティ 社会調査の知識社会学へ向けて
井出裕久

1.社会調査のリアリティと社会調査の知識社会学
2.戦前型と現代型の社会調査論
3.戦前型から現代型へのパラダイム転換
(1) 戦前型3類型から現代型2類型への転換
(2) 質的調査の貶価
4.社会調査の知識社会学へ向けて

「カルト」問題における調査研究の諸問題 フレーミングとナラティブをめぐって
櫻井義秀

問題意識
1.入信の理論と社会的フレーミング
(1)  宗教研究と「カルト」問題研究の間
(2)  「カルト」論をめぐる争点
(3)  フレーミングとしての「新宗教」論と「カルト」論
2.ナラティブの構築性と社会的争点
(1)  入信・離脱に関わるナラティブの研究
(2)  ナラティブにおける創造性と非拘束性
(3)  性的虐待悪魔崇拝の問題─トラウマと記憶
3.結びとして─「カルト」問題調査研究の地平─

シカゴ学派社会学と21世紀という時代──セカンド・シカゴ以降を射程として──
奥田道大

1.シカゴ学派社会学の現在
(1)  20世紀システムから21世紀システムへ
(2)  大都市インナーシティを共通の磁場として
(3)  いわゆるシカゴ・スタイル批判を経過して
2.日本都市社会学の文脈において
(1)  第2世代都市社会学者のシカゴ理解
(2)  初期シカゴとの回路を結んだ磯村英一とE. C. ヒューズの場合
(3)  例えば、越境アジア系ニューカマーズの「新宿/池袋」調査(1988-2003)に携わって
3. リアリティの捉え方 ─シカゴをめぐるクリティカル・アセスメントと相携えて─
(1)  セカンド・シカゴのもう1つ先に
(2)  参画型行為調査のすすめ
(3)  都市共在感覚の発見
(4)  都市エスノグラフィの編集
4.例えば、W. F. ホワイト=SCSとE. アンダーソン=SWについて
5.シカゴ・アセスメントを経過して─結びに代えて─