ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

研究

宗教改革を研究したい場合先ず何を読めば良いのか?

月一回歴史学の専門家が歴史について楽しく語るUSTREAM番組「せんだい歴史学カフェ」で、「ナツイチ!この夏歴史学に乗り出すためのビブリオバトル」という企画をやっていました。これは、歴史学をこれから本格的に学ぼうとする学生に、色々な本をおすすめし…

コールンヘルトと矯正の家

ゲレメク『憐れみと縛り首』平凡社、1993年 をぺらぺらと適当に読み返していたら、16世紀オランダの人文主義者ディリク・コールンヘルトが、1587年の論説で、「社会政策を懲罰的に応用して自由の剥奪と矯正労働とを連結しなければならないと述べている。」(…

聖礼典復興運動としての初期メソジズム

野村誠『ウェスレーの神学思想 18世紀英国民衆とメソジズム』白順社、1998年 第1章を読んでみた。ニーバーによれば、18世紀のイングランドでは、上流階級による理神論、敬虔主義、懐疑主義、合理主義が支配的で教会生活は停滞し、宗教的に疲労していた。(13…

宗教都市ラカウの創建と破壊

H. カメン著、成瀬治訳『寛容思想の系譜』平凡社、1970年、164頁に、ポーランドの反三位一体論者のグループであるソッツィーニ派が、1569年にラカウ Raków という新都市を建設し、彼らの宗教上の首都にしたと書いてあった。Kaplan, Divided by Faith, p. 255…

近世寛容論における本質的なことがらにおける一致とそれ以外のことがらの容認

H. カメン著、成瀬治訳『寛容思想の系譜』平凡社、1970年 寛容思想について扱った古い文献だが、大変勉強になる。この本の中で、エラスムス以降の寛容論で、少数の本質的なことがらで一致していれば、それ以外の様々な教義や慣行の不一致は不問にすることで…

ウェスレー、英国国教会、敬虔主義者と東方の霊性

清水光雄『ウェスレーの救済論 西方と東方キリスト教思想の統合』教文館、2002年 神学の研究書なので、私にはきちんと理解することが難しいが、「第1章 最近のウェスレー研究動向」を読むと、この本のタイトルにあるように、近年のウェスレー神学は、カトリ…

『ルター研究』数号がオープンアクセスに

雑誌『ルター研究』の中に、オープンアクセスで読める号がある。http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN10212002_ja.html

永本哲也「 1534年2月下ライン地方における宗教改革思想・再洗礼主義の伝播 〜ヤコブ・フォン・オッセンブルクによるミュンスター再洗礼派の宣教分析を通じて〜」紹介

今年、永本哲也「1534年2月下ライン地方における宗教改革思想・再洗礼主義の伝播 〜ヤコブ・フォン・オッセンブルクによるミュンスター再洗礼派の宣教分析を通じて〜」という論文を『エクフラシス』3、2013年(161-177頁)に掲載していただきました。論文が…

ミドルセックス大学の哲学科廃止を阻止するための署名。

この間のキングズカレッジに続き、イギリスのミドルセックス大学の哲学科が廃止を通告されました。これに抗議する署名が行われています。首都大学東京の西山雄二さんのサイトに詳しいブログ記事があったので、転載しておきます。 http://rightphilo.blog112.…

第2回 博士ネットワーク・ミーティング@つくば

11月14日土曜日に、つくばの国際会議場で行われた「博士ネットワーク・ミーティング@つくば」に参加してきました。この会合は、院生やポスドク、企業人等科学や学術に関心のある人達の集まりで、テーマは「新時代、発信する科学者」でした。この時の「発信…

歴史学関係雑誌の新着記事情報

ACADEMIC RESOURCE GUIDEの岡本真さんが、歴史学関係の雑誌の新着記事を見ることが出来るRSSを作ってくれました。http://r.hatena.ne.jp/history_mag/ 国立国会図書館が提供する・雑誌記事索引採録誌一覧http://www.ndl.go.jp/jp/data/sakuin/sakuin_index.h…

職人や賃労働者に関する文献

Kurt Wesoly, Lehrlinge und Handwerksgesellen am Mittelrhein, 1985.Knut Schulz (Hg.), Handwerk in Europa, 1999.Reinhold Reith, Lohn und Leistung, 1999.Wolfgang Hardtwig, Genossenschaft, Sekte, Verein in Deutschland, vol. 1: Vom Spatmittelal…

第1回ARGフォーラム「この先にある本のかたち−我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」

id:narrensteinさんのところでも紹介されていますが、ARG が興味深いフォーラムを開くそうです。 第1回ARGフォーラム「この先にある本のかたち−我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」 開催日時: 2009年8月17日(月)14:00〜16:30(開場:13:30)開催場…

近世の下層民、浮浪者、女性

Google Books で見つけました。これは役立ちそうです。Google 凄い。 Robert Jütte, Poverty and deviance in early modern Europe Poverty and Deviance in Early Modern Europe (New Approaches to European History)作者: Robert Juette出版社/メーカー: …

ノルトライン−ヴェストファーレン州文書館での再洗礼派関連文書

「Archive in NRW」でノルトライン−ヴェストファーレン州にある文書館の史料を検索することができます。全ての文書館の全ての文書が検索対象になっているわけではないようですが、参考になります。「Wiedertäufer」で検索すると53件出てきます。

中世低地ドイツ語辞書をオンラインで使う。

ハイデルベルク大学の「Das Textarchiv des Deutschen Rechtswörterbuchs (DRW)」にSchiller-Lübbenの中世低ドイツ語辞書もありました。辞書をそのまま写真で撮ったものなので検索はできませんが、ネットがあればいつでも辞書が引けるのは便利です。http://w…

FUJITSU ScanSnap で資料をpdf化

富士通のScanSnap は、高速で資料をpdf化してくれるようですが、これ超便利ですね。手持ちの資料を全てpdf化すればUSBメモリーでいつでもどこでも膨大な量の史資料を参照できるわけで、ノートパソコン持ち歩きでどこでも論文が書けます。海外に留学するとき…

学術会議中の参加者のTwitterの使い方

「カレントアウェアネス・ポータル」さんで、オーストリアで開催された“EduMedia Conference”で行われた「学術会議中の参加者のTwitterの使い方」に関する報告が紹介されていました。報告はpdf で9ページという結構長いものなので、私はまだ読んでいませんが…

インターネットを学術目的で活用するために

昨日までドイツに資料調査に行ってきました。本来の目的は、下ライン地方の再洗礼派に関する史資料の入手と文書館での史料調査だったのですが、その際にドイツにいる様々な研究者から援助していただきました。その一環でボンに行った時に、id:narrenstein さ…

日本でネット上の学術交流がないのはアーキテクチャーの問題なのか?

はてなの取締役の梅田望夫さんが、インタビューで日本のネットの現状が残念だと述べたために大炎上して凄いことになっているようです。 ただ、素晴らしい能力の増幅器たるネットが、サブカルチャー領域以外ではほとんど使わない、“上の人”が隠れて表に出てこ…

TWITTERで学問コミュニケーション

TWITTERに人文科学部と社会科学部があるようです。人文科学部は部員60人です。 人文科学部 社会科学部 私も入りたい!!

Samme Zijlstra: Om de ware gemeente en de oude gronden の書評

Nicole Grochowinaが「Sehe Punkt」でSamme ZijlstraのOm de ware gemeente en de oude gronden の書評を書いていました。この本はオランダ再洗礼派の重要な通史なので参考になります。http://sehepunkte.de/2002/01/2905.html

Grenzen des Täufertums / Boundaries of Anabaptism

2006年に行われた再洗礼派の大規模なシンポジウムが、ようやく論文集として公刊されるようです。目次が分からないのですが、これは再洗礼派研究者なら要チェックの一冊になっていそうです。 ANSELM SCHUBERT (HRSG.), ASTRID VON SCHLACHTA (HRSG.), MICHAEL…

Family of Loveとリプシウス

この間の再洗礼派勉強会で個人的に非常に面白いと思ったのは、ユストゥス・リプシウスが、Family of Love 愛の家族の信徒だったことです。この愛の家族は、オランダ再洗礼派や自由心霊派など中世神秘主義の流れを汲む神秘主義者の集団です。何故かというと、…

Heinz Schilling. Early Modern European Civilization and its Political and Cultural Dynamism. The Menahem Stern Jerusalem Lectures.

近世ドイツ研究の大家ハインツ・シリンクの新著が出たそうです。小著なので、彼の考えを手っ取り早く知るには良い本のようです。 In sum, Schilling concisely limns three major fields of his own research, neatly tied together in a consideration of t…

Dr. Henk Bakker, Die Eschatologie der Münsterschen Täufer

これ聞けないのは、超残念です。論文で発表してくれないかなあ。 Die Geschichte der Stadt Münster ist zutiefst mit der Bewegung der sogenannten ‘Wiedertäufer’ verbunden. Aber was wollten die Täufer in Münster? Welche Ideen trieben sie an? Dies…

「孤独と貧困」再び

私は以前ドイツで公開された『Sommer vorm Balkon』という映画を見た際に、「孤独と貧困」という日記を書いたことがあります。これは、現代ドイツでも近世の都市でも、貧困に落ちる人々の多くが家族などの安定した人間関係を持っておらず、社会的に孤立して…

落合恵美子「アジア家族の変容−勃興すアジア家族の変容」

グローバルCOEプログラム「社会階層と不平等教育研究拠点」公開講演会で行われた落合恵美子先生の「アジア家族の変容−勃興すアジア家族の変容」についてのメモを書こうと思ったのですが、下書き保存をしようとした際に、はてなダイアリーが重くてきちんと保…

グローバルCOEプログラム「社会階層と不平等教育研究拠点」公開講演会

さる2月7日土曜日に、東北大学のグローバルCOEプログラム「社会階層と不平等教育研究拠点」の開始記念式典と公開講演会があったので行ってきました。公開講演会と銘打ってあるので気軽な気持ちで行ったのですが、来場者のほとんどがフォーマルな格好をして来…

古い史料をpdf でダウンロード

「Google Books」では、古い文献がpdf でダウンロードできるようになっている場合があるので、なかなか侮れません。また、本文がテキスト化されて検索できるので、索引や辞書代わりにも仕えて非常に便利です。日本の図書館が持っていないような史料が平気で…