主要イスラム教学者１３８人、キリスト者に宛て声明発表
【ＣＪＣ＝東京】主要なイスラム教学者１３８人が、世界中のキリスト者に宛てた声明「私たちとあなた方の間の共通の言葉」を１０月１１日発表した。声明の日付になっている１３日はイスラム教徒の断食月のラマダン明けの祭りを控えてのもの。
（中略）
声明は、ローマ教皇、正教会総主教１４人、東方正統教会の首長５人、カンタベリー大主教、ルーテル世界連盟議長、バプテスト世界連合議長、世界メソジスト評議会総幹事、世界改革教会連盟総幹事、世界教会協議会総幹事ほか「あらゆるキリスト教会指導者」に宛てたもの。
この声明を受けたキリスト教側は戸惑いを隠せない。世界平和への不可欠な段階となるものなのか、反応も歓迎から慎重なものまで様々だ。
バチカン（ローマ教皇庁）の諸宗教対話評議会議長のジャン＝ルイ・トーラン枢機卿は、声明に新たな立脚点があることは評価している。英国国教会（聖公会）の霊的最高指導者カンタベリー大主教ローアン・ウィリアムズ氏は、声明が世界各地で求められている関係を示唆するものと述べた。ルーテル世界連盟のマーク・ハンソン議長は、声明文の美しさを読み取り、誠実さと親交のビジョンを研究することを奨励した。
声明の全文が見つからないのですが、どこにあるのでしょうか。
とりあえず、この声明に対するキリスト教側の反応は、今のところ芳しいものではないようです。
枢機卿Jean-Louis Tauran氏は、コーランが神の言葉だと受け取られている限り対話は不可能だと述べています。
This week’s response from Cardinal Jean-Louis Tauran, the President of the Vatican’s Pontifical Council for Interreligious Dialogue, hardly seemed sporting. Tauran observed that the possibility of serious dialogue between Muslims and Christians was limited by the traditional Islamic understanding of the Muslim holy book: “Muslims,” he said, “do not accept that one can discuss the Koran in depth, because they say it was written by dictation from God. With such an absolute interpretation, it is difficult to discuss the contents of faith.”
ちなみに、この「Human Events」はアメリカの保守系週刊誌ということで、イスラムに対し非常に辛辣な見解を示しており面白いです。
The new letter also criticized remarks by the Vatican's top official for inter-faith relations, Cardinal Jean-Louis Tauran, that a serious theological dialogue with Muslims would not be possible as long as they continue to believe that the Qur'an is the literal word of God.
バチカンはとりあえずノーコメントのようです。
A Vatican official in Rome said the Roman Catholic Church would not comment until it had time to read the letter.
「Reuters」
私は非常に大きなニュースではないかと思ったのですが、英語版のGoogle News では記事がいくつか、ドイツ語版では全然出てこないなど、キリスト教国のメディアは、イスラム教にはほとんど関心がないようです。
また、マスメディアは、宗教間の争いは結構熱心に報道するのに対し、キリスト教諸宗派間のエキュメニカルな動きや宗教間の対話の努力の報道には非常に冷淡な気がするのですが、気のせいでしょうか。
（追加）
＊：翌日の日記でid:itunalilyさんによる有益な記事を紹介したので、そちらもご覧下さい。（リンク）
