ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

宗教

スピリチュアル好きはどんな人か

アメリカでも日本でもスピリチュアルなものは社会の中でかなり広がっているが、それを愛好するのはどのような人々なのだろうか。小池靖「スピリチュアリティとセラピー文化」樫尾直樹編『文化と霊性』慶應義塾大学出版会、2012年、41頁 によれば、アメリカで…

初期自己啓発本の背景にある世界観

やはり週末に休まないと疲れるようで、今日は疲れてだらっとしていた。ということで、午後はブック・オフと図書館に行き、初期の重要な自己啓発本を入手してきた。夕方に帰ってきてから、ペラペラめくっていた。最初期の自己啓発本 S. スマイルズ著、竹内均…

ニューソート・自己啓発と新新宗教、精神療法家と国家主義

以前「自己啓発、ニューソート、スピリチュアル関連文献」をメモしたが、その後も少しずつ文献を読み進めている。 http://d.hatena.ne.jp/saisenreiha/20141002/1412266192島薗進『ポストモダンの新宗教』東京堂出版、2001年、48-52頁によれば、(新)新宗教…

世界の宗教・キリスト教関連統計

世界の宗教(2010年) 2010年の宗教の信徒数が大陸別、全世界合計でリストになっている、各宗教の信徒が世界人口に占めるパーセンテージも分かる。 Religion: Year In Review 2010, Worldwide Adherents of All Religions(Encyclopædia Britannica) http:/…

初期日本の宗教改革関連文献

踊共二氏の報告“Reformation Studies in Japan: Past and Present”(「日本の宗教改革研究:過去と現在」)では、初期の日本の宗教改革研究が紹介されていた。日本最初のルターの伝記は、1876年に中村正直がはじめて書いたそうだ。1909年に日本で最初の宗教…

Andrew Walls キリスト教の非西洋シフト

アッポルド氏は、報告の中で Andrew Wallsが、現代においてキリスト教の重点は非西洋世界に移っているため、キリスト教史についての見方も変えていく必要があるのではないかと述べたとして以下の論文を紹介していた。 Walls, Andrew F. "Eusebius tries agai…

日本語に翻訳された教理問答集

森安達也『近代国家とキリスト教』平凡社ライブラリー、2002年 を読んでいるが、西方の教会だけでなく正教圏についてもかなり触れてあるので大変面白い。森安達也『近代国家とキリスト教』平凡社ライブラリー、2002年この本によれば、キエフ府主教ピョートル…

東方正教関係文献目録

日本ハリストス正教会東京復活大聖堂教会司祭 中西裕一氏による、正教関係文献の目録。テーマや地域毎に分かれており、非常に使いやすく、しかも載っている文献の量もかなり膨大で、正教に関する文献を探すときは大変役に立つ。 http://homepage2.nifty.com/…

電子ジャーナル『アジア・キリスト教・多元性』の総目次

日本のキリスト教について調べたいとき役立ちそう。 https://sites.google.com/site/kyotochristianstudies/home/asia/journals

Protestant reformer Martin Luther's 16th Century notes found

1520年に出版された『キリスト者の自由』のメモが発見されたそうだ。 「It includes around 50 notes written in red by Luther himself, indicating changes he wanted for a second edition.The American who made the discovery, James Hirsten, said it …

宗教改革500年祭

宗教改革のはじまりとされるルターの95条の提題公表から500年と言うことで、大々的なイベントが色々計画されているようだ。 LUTHER2017 http://www.luther2017.de/en/ 毎日色々なニュースが更新されている。 The Luther500 Festival 7日間にわたるお祭りが、…

 自己啓発、ニューソート、スピリチュアル関連文献

牧野智和『自己啓発の時代』読んだ。1990年代から2000年代にかけて、以前は不可視だった内的世界を技術的な働きかけの対象と見なそうとする「内面の技術対象化」が起こったこと、自己啓発メディアが自己をめぐる再帰性を止める基底的参照項をを示しているこ…

コールンヘルトと矯正の家

ゲレメク『憐れみと縛り首』平凡社、1993年 をぺらぺらと適当に読み返していたら、16世紀オランダの人文主義者ディリク・コールンヘルトが、1587年の論説で、「社会政策を懲罰的に応用して自由の剥奪と矯正労働とを連結しなければならないと述べている。」(…

聖礼典復興運動としての初期メソジズム

野村誠『ウェスレーの神学思想 18世紀英国民衆とメソジズム』白順社、1998年 第1章を読んでみた。ニーバーによれば、18世紀のイングランドでは、上流階級による理神論、敬虔主義、懐疑主義、合理主義が支配的で教会生活は停滞し、宗教的に疲労していた。(13…

宗教都市ラカウの創建と破壊

H. カメン著、成瀬治訳『寛容思想の系譜』平凡社、1970年、164頁に、ポーランドの反三位一体論者のグループであるソッツィーニ派が、1569年にラカウ Raków という新都市を建設し、彼らの宗教上の首都にしたと書いてあった。Kaplan, Divided by Faith, p. 255…

近世寛容論における本質的なことがらにおける一致とそれ以外のことがらの容認

H. カメン著、成瀬治訳『寛容思想の系譜』平凡社、1970年 寛容思想について扱った古い文献だが、大変勉強になる。この本の中で、エラスムス以降の寛容論で、少数の本質的なことがらで一致していれば、それ以外の様々な教義や慣行の不一致は不問にすることで…

シュヴァルツェナウの新洗礼派と再洗礼派

ハンス・シュナイダー著、芝田豊彦訳『ドイツにおけるラディカルな敬虔主義』関西大学出版会、2013年 この本によれば敬虔主義の中にも、信仰洗礼を行う新洗礼派(Church of the Brethren)という集団があったそうだ。(104-111頁)ヴィトゲンシュタイン伯領…

ウェスレー、英国国教会、敬虔主義者と東方の霊性

清水光雄『ウェスレーの救済論 西方と東方キリスト教思想の統合』教文館、2002年 神学の研究書なので、私にはきちんと理解することが難しいが、「第1章 最近のウェスレー研究動向」を読むと、この本のタイトルにあるように、近年のウェスレー神学は、カトリ…

再洗礼派の中のアウグスティヌス的伝統

東方正教から見れば、カトリックもプロテスタントも共にアウグスティヌス的伝統を引き継いでいるのならば、果たして西方の再洗礼派にとってアウグスティヌスの神学はどのような意味を持つだろうか。ロバート・フリードマン著、榊原巌訳『アナバプティズムの…

『ルター研究』数号がオープンアクセスに

雑誌『ルター研究』の中に、オープンアクセスで読める号がある。http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN10212002_ja.html

東方正教から見た義認論

以下の論文を読んでみた。無料で読むことができる。・鈴木浩「少し長めの前書き、あるいは、義認論をめぐる環境の変化」『ルター研究』9、2004年、5-19頁。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110000991340この論文は、現代の義認論をめぐる環境の変化を、三つの観点…

性的な道祖神

稲荷講について調べる際に、図書館にあった様々な民俗関連の本を眺めていたのだが、その際に『相模の道祖神』平塚博物館、1999年という本があった。平塚市博物館で1999年に開かれた秋期特別展「相模の道祖神(さいのかみ)」の展示解説図録として作られたそ…

何故平塚の家の庭には祠があるのか?

平塚に海を見に行ってきた。ついでに、平塚八幡や八幡山公園に寄った後、平塚市立図書館に行ってきた。お目当ては、市立図書館3階の郷土資料コーナーだ。何故平塚の郷土資料を見たかったかというと、平塚の個人宅にある小祠について知りたかったからだ。以前…

「History and Theory」での神・科学・歴史特集

「History and Theory」の2008年12月号で神と宗教と歴史に関する特集が組まれていたようです。 God, Science, and Historical ExplanationTOR EGIL FORLAND, Acts of God? Miracles and Scientific ExplanationBRAD S. GREGORY, No Room for God? History, S…

宗派とデノミネーション

先週の10月3日に行われた第二回再洗礼派勉強会では、三人の報告者に報告をしていただきました。山本大丙さんは、「17世紀後半のオランダ改革派:バルタザール・ベッカー」という報告で、世界の脱魔術化・近代化と近世オランダ改革派との関係を詳細に検討され…

英国国教会やカトリック教会は、進化論を認めている

「世界キリスト教情報」さんで、進化論絡みのニュースが二つ紹介されていました。 ◎英国国教会、チャールズ・ダーウィンに謝罪 【CJC=東京】英国国教会は9月15日、著書「種の起源」によって進化論を主張した自然科学者チャールズ・ダーウィンに対し、…

聖公会が分裂の危機

同性愛者の主教の叙階や同性愛者同士の結婚を祝福することに反対する保守派が、聖公会内に新たな協議会を作ろうとしているそうです。 全世界約8000万人の英国国教会(聖公会)信徒のほぼ半数を代表する『GAFCON』(グローバル・アングリカン将来会…

プロテスタント教会の統一

ザクセンとチューリンゲンのプロテスタント教会が統一するようです。この両地域は、別々の信仰告白を持っているそうですが、信徒数の減少に伴い、収入も減少しているので、いっしょになって行政コストを削減したいのだそうです。世知辛いですね。FAZ「Kirche…

「宗教と社会」学会学術大会におけるテーマ・セッション

科学と宗教の問題に関心がある人にとっては宝の山である、南山宗教文化研究所「科学・こころ・宗教」プロジェクトのブログで、「宗教と社会」学会学術大会におけるテーマ・セッションのレポートが上がっていました。「テーマセッション「日本における「科学…

6月14・15日に「宗教と社会」学会第16回学術大会「日本における「科学と宗教」の対話の意味を問い直す」

ちょうど来月南山大学で、「日本における「科学と宗教」の対話の意味を問い直す」というシンポジウムが行われるそうです。参加するには事前申し込みが必要だそうですが、上のmacskaさんの記事に興味を持った方は行ってみてはどうでしょうか。 ◆日本における…