ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

メイドさんは何故メイド服を着るのか?

若尾祐司さんの『ドイツ奉公人の社会史−近代家族の成立−』(ミネルヴァ書房、1986年) を読んでいたら、イギリスの女性奉公人の話しも出てきました。西ヨーロッパでは、19世紀に農業奉公人が減り、都市では奉公人が増える、しかし都市奉公人は女中に一元化されていったそうです。

19世紀ヴィクトリア朝時代の女中、つまりメイドさんは、主に農村出身であり、中産階級の家に住み込みで働いていたそうです。住み込みなので衣食住は保証されていましたが、「長時間労働、雇用への隷属性、社会的地位の低さという問題点を伴っていた」(9頁)そうです。

さて、主に秋葉原方面で人気を博しているメイド服ですが、これはようやく19世紀に生まれたようです。

19世紀に入って新たに、男性の制服奉公人に倣って、女中にも制服使用が強制されるという事態が生じた。制服は、社会的隔離の手段であり、主婦と女中の区別を一目瞭然にするためであった。(9頁)

中近世でも、身分の違いがすぐに分かるように、着ることが許される服装が規定されるということがありましたが、メイド服も、雇い主の奥様とメイドの区別のために導入されたようです。