ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

世界中に広がるメノナイト「Global Mennonite History Series」

現在私は他の若手研究者といっしょに、新教出版社の雑誌『福音と世界』で、「旅する教会―再洗礼派と宗教改革」という連載をやっています。

私の専門は16世紀のミュンスター再洗礼派運動ですので、初期の再洗礼派についてはそれなりに文献を読んでいました。しかし、特に17世以降の再洗礼派についてはそれほど知識があったわけではありません。しかし、そもそも初期以外の再洗礼派の研究に注目が集まるようになってきたのは英語圏やドイツ語圏でも比較的近年のようですし、日本では初期以外の再洗礼派の歴史はほとんど研究されてきませんでした。

しかし、この連載では、これまで日本ではほとんど紹介されてこなかった、新しい時代の再洗礼派についても扱っています。再洗礼派は元々ヨーロッパで生まれましたが、彼らの多くはその後北米や南米に渡りました。現在ではさらにアフリカやアジアにも広がっています。

このようにメノー派は既にヨーロッパだけではなく、世界中に広がっている宗派に成長していますが、このような状況を包括的に扱うシリーズが出版されました。それが、「Global Mennonite History Series」です。このシリーズは全5冊で、ヨーロッパ、北米、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアという広い地域をカバーしています。全部揃えば、世界中のメノー派の歴史を概観できるとは凄いシリーズです。特に、近現代の記述が非常に充実しています。アジアの巻では、もちろん日本も扱われています。

  1. Anabaptist Songs in African Hearts, released in 2003 at the 14th global assembly in Bulawayo, Zimbabwe (also available in Spanish and French)
  2. Testing Faith and Tradition, the volume from Europe, released in 2006 (also available in Spanish, French, and Dutch)
  3. Mission and Migration, the volume from Latin America, released in 2010 (also available in Spanish)
  4. Churches Engage Asian Traditions, the volume from Asia, released in 2011
  5. Seeking Places of Peace, the volume from North America, released in 2012


私も(自腹で)このシリーズを揃えたので、今後の連載で大いに活躍してもらおうと思っています。