ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

危ない史料

最近、幾つかミュンスター再洗礼派を扱った、16世紀当時のパンフレットを読みました。これらのパンフレットは、再洗礼派に敵対的な視点から書かれているとされることから、余り研究には使われることはありません。

私が読んだ「新聞」と名付けられたパンフレットでは、司教の役人の手紙ともう一つ別の史料が並べられています。読むと、再洗礼派の審問の結果を要約して報告している、結構信頼性の高い記述のように思えます。しかし、基本的にパンフレットは、出自が全く不明なものですし、私はこの手のパンフレットの評価の仕方が今一つ分かっていないので、どう評価して良いものか悩んでいます。

基本的に現在まで残されているミュンスター再洗礼派関係の史料は、ほとんどが敵側から書かれているので、その史料の記述の信憑性は低く、使うのが難しいものばかりです。

ただ、私が扱いたいと思っている、下層民、女性、子供、若者などについての記述は、史料の中にほとんど出てこないので、史料の性格が何であろうと、少しでも手掛かりになるのなら、使いたいというのが本当のところです。

そのため、そろそろこれまで余り読んでこなかった、定評のない史料にも、目を通さなければと思っています。扱いが難しいので、かなり慎重に取り扱わなければなりませんが、何とかならないものかと思っているところです。