路上で野垂れ死ぬ。
私自身、一切の希望を断念する事によって、自分の人生の最も危機的な20年間を乗り切る事ができたと思う。そのため、当然払うべき礼節はともかく、一度も指導教官にゴマをすろうとは思わなかったし、「学会」に妥協する必要もなかった。何の業績も残すことなく、ホームレスになって野垂れ死んでもいいと、とうに覚悟していたからである。
田島正樹先生の「ララビアータ」のこの文章を読んで、私が、歴史学の研究者を目指すことを決心した頃のことを思い出しました。お天道様の輝く堅気の世界を捨て、薄暗い世界で、ヤクザ者として生きると決めたときは、ずいぶんと悲壮な覚悟を決めたものでした。腹は括ったはずが、日寄ったり、揺らいだりすることも多々あり、己の弱さを思い知りますが、野垂れ死ぬ覚悟が出来ていなければ、既に心が折れていたのではと、遠い異国の空で思う次第であります。