ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

文書を読んでもらう

相変わらず体調は絶不調で、体は重いし、頭はぼけてるし困ります。何もできないほど酷いわけではないけど、やろうとしても身体も頭も動かないと言う、何とも煮え切らない調子です。

とは言え、やるべきことはやらなければならないので、昼過ぎに重い身体を引きずるように立たせ、ミュンスター北の郊外にあるCoerde に出かけました。Coerde の外れの旧軍用倉庫が現在はStadtarchiv Münsterミュンスター市立文書館)になっているので、そこに行ったのです。

私は、ブリュッセルで見つけた文書を自分で満足に読めないため、ある研究者の方に助けてもらうために文書館に行きました。彼は非常に親切にいっしょに文書を読んでくれたのですが、私は何分良く読めませんので、ほとんどその方が一人で読んで、私は「へえ〜っ」と聞いているだけの状態でした。私も事前に自分で活字に直していったのですが、当然の事ながら間違いだらけでした。

今回読んだ文書は、Schenk von Tautenburg という低地地方の伯がブリュッセルにいるハンガリーのマリアに送った手紙です。彼はオランダ人ですので、本文も当然の事ながら中世オランダ語で、私は内容もだいたいしか分かりません。

しかし、その研究者の方は、ざっと読んでもほとんど意味が取れるようで、読みながら内容を説明してくれました。それを聞いて思ったのは、自分がこういう人と対等に研究するというのは、いくらなんでも無理があるのではないかということです。基本性能が、そもそも違いすぎるからです。年上の専門家と学生の自分を比べても仕方のないことですが、自分がこれぐらい史料を読めるようになることは、一生ないだろうと思って話を聞いていました。

ともかく、今日は2時間ほどで、1ページを読みました(読んでもらいました)。私は、下手したら1ページ書き起こすだけで丸一日掛かるので、凄い早さです。

私がブリュッセルで発見した史料は、私が調べた限りでは、まだ未公刊の史料であるため、その研究者の方も興味を持ったらしく、面白く読んでいたようだったのは良かったです。私は、自分では読めないないので、見つけた史料の一部をコピーして、他の研究者の方にも送ったのですが、日頃お世話になりっ放しな分、少しでも恩を返せたようで良かったです。できないことを無理矢理やると言うのも、全く意味がないというわけでもないようです。