ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

1582年の租税台帳打ち込み完了

今日やっと、1582年のランベルティ市区の租税台帳をエクセルに打ち込み終わりました。全部で463世帯、771人分*1のデータを打ち込んだということで、大分疲れました。読んでいて分からないところも結構あったのですが、今日はRalf Klötzer氏に、少し質問をすることができたので、問題は大方片づきました。

今回、本物の徴税記録を実際に最初から最後まで目を通したことで、副次的な部分でも、色々と面白いことが分かりました。時間があれば、純粋に徴税記録だけを使った論文も書いてみたいぐらい面白い史料です。1年ぐらい自由な時間があれば、郷土史の専門家の教えを請いつつ、全部の市区の16世紀中の徴税記録を全部打ち込んで、エクセルファイル収録のCD-ROM 付きで、分厚い本の一冊ぐらい書いてみたいです。*2誰か雇ってくれないかしらん。

まあ、日本では全く需要がないでしょうが、ミュンスターの地方史研究としては、面白いテーマが沢山眠っている夢のある史料です。二次文献を読むのは、どちらかというと作業という感じの方が強いですが、史料を読む時は、新しく世界が広がる感じでワクワクします。

とは言っても、今回は本業のミュンスター再洗礼派研究の補助作業に使うだけです。今後は、このデータを使って、分析を行わなければなりません。その後もさらに証拠固めは行うつもりですが、このデータを使った分析で、大勢は判明するはずです。この分析結果の研究史上の重要性は十分過ぎるほど分かっているだけに緊張します。

*1:これを見れば分かるように、一世帯の成人の人数は、平均で2人もいかないのです。何故かというと、お金持ちの家の奉公人の数の多さを(とは言え、複数奉公人がいる家は、かなり限られています)、一人暮らしの住人の多さが打ち消してしまうからです。ちなみに、一人暮らしの住人の圧倒的大多数は、当然の事ながら女性です。

*2:日本語で書いても意味がないので、もちろんドイツ語でですが。