ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

南山大学宗教文化研究所「科学・こころ・宗教」

pensie_log」さん経由で、南山大学宗教文化研究所の「科学・こころ・宗教」というプロジェクトを知りました。

プロジェクトの趣旨 Focus

現代日本社会において、科学は多大な影響と役割をはたしている。しかし、人間は理性と合理性のみによって生きているのではない。ある意味で「科学中心」の現代社会において、人間の『ソフト』な面(こころ、感性、感情、精神、霊性、価値観、倫理)はどのように扱われるべきであろうか。また、このようなソフトな面に関して、広い意味での宗教や倫理や道徳は伝統的に大きな役割を果たしてきたはずである。今日、このテーマについて何がいえるのであろうか。現代人にとって「科学」と「宗教」の世界観は矛盾して対立しているのか、あるいは相互に補うべきものなのか。各分野で活躍している科学者と科学論・科学思想史の研究者を囲んで、一年にわたる一連の懇話会で議論を深め、最後にシンポジウムを開催し、その成果を総括したい。

プロジェクトの目的 Aims

  • 科学と宗教の対話に携わろうとする科学者と研究者たちのネットワークを確立すること
  • 日本における正当な意義深い試みとして、科学と宗教の対話を促進すること
  • 科学と宗教の対話が日本においても重要な認識や問題であると確認し、日本での討議がこの問題に関する世界での議論に貢献できると明らかにすること


以前、ネット上で科学と宗教をめぐる論争が起こったこともあるようですが、おそらくは、各々が自分の限られた知識や偏向した視点で、個人的な意見を開陳するよりは、この研究所の文献リストで紹介されているような様々な文献に目を通し、これまでの研究史を知る方が、論争を行う上で有益であろうと思います。研究史を調べるところから研究が始まるというのは、専攻に限らず、全ての研究者に共有されている基本原則であろうと思います。特に、科学と宗教の関係のような、膨大な研究蓄積があるであろう問題を扱おうという場合には、なおさらだと思われます。

自分よりも遙かに長い時間と労力をかけてその問題に取り組み、成果を認められたその道の専門家の意見を、とりあえず虚心坦懐に聞いてみることは、どの問題を検討する際でも重要だろうと思います。