ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

内集団と外集団の境界はいかに引かれるか

内集団と外集団の境界は、一つの集団を考えた場合には自明ですが、実際の社会ではそう簡単には境界線を引けないことも多いです。というのは、複数の集団がより大きな集団を作ったり、ある集団の成員が各々他の様々な集団に所属することもあるからです。この場合には、内集団と外集団の境界は複数引かれることになります。また、現実社会は、ミクロ、メゾ、マクロレベルの無数の集団によって構築され、個々人も通常複数の集団に所属しています。そして個々人は、時と場合によって所属する集団のうち何れに帰属意識を持ち、集団規範に従うかを変えていきます。また、内集団と外集団の境界は認知的に引かれるので、個々人毎に境界線が違う可能性があります。

このように内集団と外集団の境界を引く際には、いくつかのことを考慮に入れなくては成らないだろうと思います。思いつきで挙げてみると、一つ目は集団のレベル、二つ目は個人が複数の集団に所属し、内集団と外集団の境界をその都度引いていること、三つ目は集団毎、あるいは個々人毎に認知される内集団と外集団の境界線が異なること、四つ目は状況によって内集団と外集団の境界線が変わること、五つ目は時間によって内集団と外集団の境界線が変わることです。

これら無数の集団や個人によって視点毎に無数に引かれ、なおかつ絶えず変化する内集団と外集団の境界を、マクロレベルでどのように統合的に捉えることが出来るでしょうか。人間の脳味噌では追いつきそうにないので、やはりコンピューターのシミュレーションしかないのでしょうか。