ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

ニューソート・自己啓発と新新宗教、精神療法家と国家主義

以前「自己啓発ニューソート、スピリチュアル関連文献」をメモしたが、その後も少しずつ文献を読み進めている。
http://d.hatena.ne.jp/saisenreiha/20141002/1412266192

島薗進ポストモダン新宗教東京堂出版、2001年、48-52頁によれば、(新)新宗教の中には、ニューソート的な自分の心を操縦し、つねに明るく安定した状態に保とうという信仰を持つものがあるそうだ。古くは生長の家ひとのみち教団GLA幸福の科学白光真宏会阿含宗ワールドメイトオウム真理教。さらにほんぶしん、自然の泉、法の華三法行、ESP科学研究所。また「明るさ」の強調は、新霊性運動や自己啓発セミナーなどの現象とも符節を合わせているとされている。(52頁)

また吉本伊信が浄土宗系統の修行法から開発した「内観」という心理療法の技法が、ほんぶしんやGLA幸福の科学にも影響を与えているとのこと。(50頁)必ずしもニューソート系統からの影響だけではないようだ。


心理主義時代における宗教と心理療法の内在的関係に関する宗教哲学的研究』基盤研究(B) 研究課題番号:13410010  代表:岩田文昭(大阪教育大)
この科研費報告書で様々な心理療法と宗教の関わりについて検討されている。
http://www.maizuru-ct.ac.jp/human/yosinaga/shinri.html

科研費報告書中の吉永進一「民間精神療法書誌(明治・大正編)」は、日本の民間精神療法に対するニューソートクリスチャン・サイエンスなどの民間精神療法の影響が扱われている。膨大な書誌の紹介もある。必読。

欧米の心霊主義を日本に紹介した初期の代表人物が英学者の高橋五郎。彼は明治30年代以降心霊関係の本を次々に執筆し、多くの霊術家が彼の本を参照し、権威付けにも使ったとのこと。「民間精神療法書誌(明治・大正編)」150頁

高橋五郎『神秘哲学』(明治36年)などの著作は、近代デジタルライブラリで読める。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/752831


『宗教研究』で(近代日本の修養・精神療法・新宗教における身体論と国家論,パネル,<特集>第73回学術大会紀要)が紹介されていた。
http://ci.nii.ac.jp/search?q=%E6%96%B0%E5%AE%97%E6%95%99%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%BA%AB%E4%BD%93%E8%AB%96&range=0&count=20&sortorder=1&type=0

このパネルの問題関心は、戦前の精神療法家は何故国家主義に向かうのか、逆になぜ国家主義者は健康法や代替医療を好むかという両者の親和性についてだそうだ。両者のつながりは、片山杜秀『近代日本の右翼思想』までほとんど扱われてこなかったそうだ。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009933283