ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

耕地の直線的区画

前回の文章で、オランダの低地地方では、風景の中に直線が多いことについて書きましたが、実は内陸部でも、風景の中にかなり直線が多いのです。低地地方の風景の直線性は、主に水路によるもの、つまり前回ご説明したように、元々の自然条件によって要求されたものです。

それに対し、内陸部の風景の直線性は、耕地の区画によるものです。つまり、耕地と耕地を、直線的に区切っているということです。これは、自然条件によるものではありません。土地の区画は、人間の意志によって、どのようにでも変えられるものであり、どのような区画の仕方が必然的だということは言えません。

実際に、ドイツでの耕地の区画の仕方は、全く直線的ではありません。耕地と耕地の間に走る畦道は、うねうねとした曲線を描き、土手や畦によって区切られる耕地は、非常に多様なかたちをしています。

しかし、国境を越えると、とたんにこの区画の仕方が、直線的になります。耕地は、直線的な道や畦に区切られ、耕地のかたちはドイツと比べると、ずっと幾何学的で、単調になります。

また、オランダの耕地は、ドイツのそれと比べると、一つの区画が遙かに広いのも特徴です。ドイツでは、小さく区切られた狭い耕地がうねうねと連なっているのですが、オランダでは、大きく区切られた耕地が、整然と並んでいます。