ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

植林された若木の並ぶ雑木林と並木

違いの二つ目ですが、オランダの農村には、先ず木が非常に少ないと言うことが挙げられます。これは何故かというと、オランダの農村には、雑木林がほとんどない、あるいはあっても非常に小さいからであり、同時に並木が少ないからです。

何故雑木林が少ないのか、私には分かりませんが、並木が少ないのは、耕地の区画が大きいからです。並木は、耕地と耕地の間の道路に設置されるものですが、一区画が大きいため、当然道路や畦道も疎らになり、その両脇に餓えられる並木も疎らになります。ドイツではそもそも雑木林が多く、同時に小さな耕地の間に、並木が植えられているので、オランダと比べると、かなり木の密度が濃くなります。

また、オランダの農村に生えている木が、非常に細く、背が低いことも大きな特徴です。雑木林の木も、並木の木も、オランダの農村のほとんどの木は、背が低く、細長い木ばかりでした。余りにも、このようなひょろ長い木ばかりなので、オランダの土地がよほど痩せているか、寒いかで、まともに木が育たないのだろうかとも思ったのですが、街中の公園には、幹の太い立派な木もあるので、必ずしもそういうわけでもないようです。

木の背の低さ、幹の細さを見ると、それらの木々は、ほぼ間違いなくかなり最近になって植林された木々だろうと思います。しかし奇妙なのは、ほとんど全ての木々が、このような若木だということです。これほど若木が多いということは、以前は、オランダの農村には、ほとんど木がなかった、あるいは一度ほとんどの木を切ってしまったことになります。しかし、そんなことが果たしてあり得るのだろうかと、私などは不思議に思ってしまいます。

一方、ドイツの木々は、雑木林にせよ、並木にせよ、オランダの木々と比べると、全般的に遙かに幹が太く、背も高いです。明らかに、遙かに樹齢が長いことが見て取れます。つまり、ドイツ人は、オランダ人ほどには、木を頻繁に切らなかったことになります。

オランダとドイツの農村風景には、以上のような違いがあるので、パッと見た感じもかなり違います。オランダの農村は、大きく、整然としたかたちで耕地が区画され、木が少なく、しかも木の背が低いので、見晴らしが良く、広々とした印象を与えます。

一方、ドイツの農村は、小さく、入り組んだかたちで耕地が区画され、その合間に並木や雑木林が沢山あり、これらの木々の背はかなり高いため、小さく区切られた複雑なかたちをした空間が、絶えず木々によって区切られている様が目に付きます。そのため、ごちゃごちゃして、見晴らしの悪い印象を与えます。