ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

国民文化と風景

低地地方の場合は、風景の直線性は、自然条件に起因するものです。しかし、内陸部は、自然条件で言えば、隣接するドイツとほとんど変わらないはずです。にもかかわらず、国境線を跨いだだけで、風景がかなり違ってしまうと言うことは、おそらく両国の風景に、それぞれの国の国民の、異なった農村観、自然観が反映されているからでしょう。何故なら、基本的にオランダ内陸部の農村風景の特徴は、オランダ沿岸部のそれと、基本的に共通しているため、その特徴は、オランダという国家の精神文化に起因するものではないかと思うからです。

しかし、オランダが国家として、ドイツ西北部との国境を確定したのがいつなのか私は知りませんし、この辺の統治権が、どのような配置になっていたのかも私は知りません。また、オランダとドイツの耕地の区画の仕方や、木々の管理の仕方が、いつ頃から、どのようにして異なるようになっていったのかも、私は知りません。そのため、安易に国家が原因と断定をするわけではありませんが、国境をまたいだだけで、隣接した地域の風景が、すっかり変わってしまう様を見ると、国家というものが、国民の文化や価値感を規定することによって、間接的に、農村の風景にまで大きな影響を与えているのではないかと感じざるを得ませんでした。