ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

歴史理論も知っておこう。

昨日、授業の合間のだれたときに、歴史学科の図書館でやる気なく雑誌を見ていて、面白そうな雑誌を見つけました。

History and Theory

この雑誌は、歴史理論についての雑誌です。私は、最近、そろそろ歴史理論も、それなりに知っておかなければマズイかなあと思い始めていたので、私の興味良く合っている雑誌でした。

この雑誌は、論文だけでなく、書評も充実しており、下手すれば論文並みの分量の書評が書かれています。何か、ポストモダンの理論を扱った本の書評などもありました。

個人的に興味を持った本が、Fred Spier というアムステルダム大学の先生の書評した、David Cristian という人のMaps of Time: Introduction to big History, 2004. という本です。

この本は、宇宙の開闢から現代の人間社会までを扱った「Big History」を扱った本だそうです。宇宙開闢以来の話なので、物理学、天文学、生物学、歴史学などの諸科学の成果がふんだんに取り入れられているようです。

この本では、人間の文明の発達を、energy-flows とcollective lerning という概念を軸に展開しているらしいです。つまり、都市などにエネルギーや情報、知識が集約されることで、さらに流通するエネルギー量や知識の量が増大していくというような感じで、論を展開しているそうです。

自然科学と社会科学を総合するような学際的な本みたいなので、山形浩生さんあたりが、好きそうな本ではないかと思いました。現代では、何分大昔と違って、知識や情報量が桁違いに多いために、諸学問分野を統合する大きな世界観を構築するのは非常に難しいと思いますが、がんばっている人はがんばっているらしいです。

それにしてもこの書評のタイトルが奮っています。「The Ghost of Big History is roaming the Earth」つまり、「大きな歴史という幽霊が、地上を徘徊している」というタイトルなのです。どこかで聞いたような表現ですが、これ、ロシアの心理学者Akop Nazaretyan という言う人の言葉の引用らしいです。よりによってロシア人がこういう表現を使うってのが粋ですよね。

もう一つの面白そうな雑誌は、以下の通りです。

Historical Methods: A Journal of Quantitative and interdisciplinary history

この雑誌は、数量的なテーマを扱った論文が載っているようです。私は、社会構造分析に手を出している手前、歴史人口学的な方法論も学ばねばならないので参考になります。

とりあえず、Nusteling, Hubert P. H., Fertility in Historical Demography and a Homeostatic Method for Reconstituing Populations in Pre-Statistical Periods,in: Historical Methods, Summer 2005, Volume 38, Number3, p. 126-142. は、読まないとなりません。

17世紀以前を、数量的な手法で扱うのは、凄く難しいので、色々な手管を学ばなければなりません。でも、この論文、数式とか載ってるんで、数学なんてとっくの昔に忘却の彼方になっている私に理解できるかどうか心配です。