ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

小田中直樹『歴史学のアポリア』

小田中直樹歴史学のアポリア―ヨーロッパ近代社会史再読』山川出版、2002年

この本は、大塚久雄などの比較経済史学派やその後の近現代史の変化に焦点を当てながら、歴史学の社会的有用性や方法論について書いた本です。

私がこの本を読みながら思ったのは、このような問題を考えるときに、近現代史と中近世史を同じ「歴史学」に属するものとして同列に扱えるだろうかということ、また、現代と密接に繋がるテーマ、たとえば近代化や国家形成に繋がるテーマを扱う研究と、そうでない研究を、同じ「歴史学の研究」とひとまとめにして考えることは可能だろうかと言うことでした。

すでに、歴史学には非常に大きな多様性があり、時代や扱う対象によって、社会的有用性、必要とされる方法論もずいぶん幅があるような気がしないこともありません。となると、必然的に歴史学全体を扱うのは、なかなか難しいということになるのかもしれないと、思わないことはありません。