ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

読書

ロマン主義とアイロニカルな態度

限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学作者: 宮台真司,北田暁大出版社/メーカー: 双風舎発売日: 2005/10/22メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 82回この商品を含むブログ (128件) を見る この本は、著名な社会学者宮台真司と北田暁大の対談集です。…

二宮宏之『マルク・ブロックを読む』

マルク・ブロックを読む (岩波セミナーブックス)作者: 二宮宏之出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/03/29メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (13件) を見る そこでブロックは、歴史研究者が心得るべき有効な方法として、(中…

後藤久『西洋住居史』彰国社

西洋住居史―石の文化と木の文化作者: 後藤久出版社/メーカー: 彰国社発売日: 2005/09/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見るヨーロッパの住居の歴史を、古代から現代まで描き出すという本です。私がヨーロッパを旅している間疑…

恐怖は最強のインセンティブ?

こうした犯罪(注:エンロンやワールドコムの嘘)は、それぞれとてもさまざまだけれど、一つ共通する特徴がある:これらは皆、情報の罪だ。つまり、専門家か専門家の集団が、嘘の情報をばら撒いたり本当の情報を隠したりしているものが多い。それに、それぞ…

スティーブン・D・レヴィット『ヤバい経済学』

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する作者: スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー,望月衛出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2006/04/28メディア: 単行本購入: 15人 クリック: 383回この商品を含むブログ (330件) を見る 最近話題…

稲葉振一郎『経済学という教養』東洋経済新報社、2004年

経済学という教養作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2004/01/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 119回この商品を含むブログ (112件) を見るこの本は、「素人の、素人による、素人のための経済学入門」だそうです。稲葉先生は、社…

経済学を囓ってみる

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)作者: 大竹文雄出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/12/01メディア: 新書購入: 14人 クリック: 139回この商品を含むブログ (110件) を見る この本の目的は、お金がない人を助ける具体的な方…

系譜学:様々な分岐を考える

スティーブン・ジェイ・グールド『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)』早川書房、1993年 私はその実験を、「生命テープのリプレイ」と呼ぶ。巻き戻しボタンを押し、実際に起こったすべてのことを完全に消去したことを確認…

フランスでの歴史学を取り巻く状況

感性の歴史学―社会史の方法と未来 (神奈川大学評論ブックレット)作者: アランコルバン,橘川俊忠,的場昭弘,神奈川大学評論編集専門委員会,渡辺響子出版社/メーカー: 御茶の水書房発売日: 2000/02メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を…

小田中直樹『歴史学のアポリア』

小田中直樹『歴史学のアポリア―ヨーロッパ近代社会史再読』山川出版、2002年この本は、大塚久雄などの比較経済史学派やその後の近現代史の変化に焦点を当てながら、歴史学の社会的有用性や方法論について書いた本です。私がこの本を読みながら思ったのは…

山内昌之『歴史の作法 人間・社会・国家』文春新書

この本は、イスラム史の大家の方が書いた、歴史学の意味と使命を考えた著作です。記述は、洋の東西を問わず、様々な歴史家の主張を紹介していくことで進んでいきます。基本的に、自分の考えを論証していくというよりは、色々な人の考えを紹介し、自分の考え…

磯田道史『武士の家計簿』新潮新書

この本は、江戸末期から明治初頭の37年間に渡る加賀藩の武士猪山家の家計簿を用いた非常に興味深い研究です。この武士の家は、加賀藩の御算用者、つまり会計を司っていた家だったので、非常に綿密な家計簿が作られたのだそうです。著者は、それまでこのよ…

速水融『歴史人口学で見た日本』文春文庫

帰ってから日本語の本をぼちぼち読んでいます。いつの間にか、新書の種類がやたらと増えていて驚きました。ベストセラーも出ているようですし、出版不況らしいのに、ずいぶんと新書は景気が良いようだとお見受けしましたが、どうでしょうか。と言うわけで、…

ハンナ・アレント『人間の条件』

日本から持ってきたは良いけど、読まずに放置していたハンナ・アレントの『人間の条件』を読んでいます。思想的な著作を読まなくなり、経験主義に肩まで浸かった私には、著しく読みにくいです。論証をすっ飛ばして、どんどん先に進んでいく突進力や、錯綜し…