ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

歴史学

ケルン市歴史文書館情報のためのブログ

ケルン市歴史文書館の情報は、山中尚志さんのブログ「緑の錨」や「ドイツ・ケルン市歴史文書館支援のための署名のお願い」で日本語でも知ることが出来ましたが、新たに「ケルン市歴史文書館情報のためのブログ」ができました。中世の手書き文書の75%は救出さ…

趣意書

日本側からケルン市とノルトライン・ヴァストファーレン州に向けた趣意書は以下の通りです。 Offener Brief an die Stadt Köln sowie an das Land NRW zur Rettung des Historischen Archivs der Stadt KölnSehr geehrter Herr Oberbürgermeister Fritz Schr…

ドイツ・ケルン市歴史文書館支援のための署名のお願い

現在下記のサイトで、倒壊してしまったケルン市歴史文書館支援のための署名をお願いしています。ご賛同頂ける方がいれば、ぜひ署名お願いいたします。また、もしブログなどをお持ちの方は署名サイトを紹介していだいたり、はてなブックマークをつけて紹介し…

ケルン市歴史文書館救援活動のための共同声明

上智大学非常勤講師の猪刈由紀さんとボン大学博士課程の井上周平さんが、ドイツで出された「ケルン市歴史文書館救援活動のための共同声明」を邦訳してくれました。現在日本側でも、猪刈由紀さんを中心に署名活動を始めています。近日中に趣意書をこのブログ…

ケルン市立歴史文書館が崩壊

ドイツの大都市ケルンの市立歴史文書館が崩壊するという事件が起こりました。 【3月4日 AFP】3日、ドイツ西部ケルン(Cologne)で3日午後2時(日本時間同午後10時)ごろ、同市の史料館が入った4階建ての建物と隣接する集合住宅などが崩壊し、最大で9人が行方…

第四回再洗礼派勉強会のお知らせ

3月8日に第四回再洗礼派勉強会を開催しますので、お知らせします。 第四回再洗礼派勉強会 日時:3月8日(日曜日) 14時〜 場所:早稲田大学戸山キャンパス 39号館 第5会議室 地図:http://www.waseda.jp/bun/map/※休日に会場の早稲田大学戸山キャンパス…

田中俊之先生の諸論文

金沢大学の田中俊之先生の論文が、金沢大学学術情報リポジトリで公開されています。中世から近世にかけてのドイツ都市史についての論文や書評を多数読むことが出来ます。http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/handle/2297/86/simple-search?query=%09%…

ハンス・ザックスによる諸身分一覧

Wikipediaにハンスザックスが1568年に出版した「Eygentliche Beschreibung aller Stände auff Erden, hoher und nidriger, geistlicher und weltlicher, aller Künsten, Handwercken und Händeln」があります。パンフレットの画像と書き起こしが両方あります…

滝口克典「16世紀後半におけるフッター派の「良き秩序」構想」

山形大学歴史・地理・人類学論集 no.1に掲載された滝口克典さんによるフッター派の論文「16世紀後半におけるフッター派の『良き秩序』構想」をPdfで読むことができます。http://repo.lib.yamagata-u.ac.jp/handle/123456789/491滝口さんは現在はフッター派研…

面白そうな文献

Sylvia Brown(ed.), Women, Gender and Radical Religion in Early Modern Europe, 2008.(目次) Gary K. Waite. Eradicating the Devil's Minions: Anabaptists and Witches in Reformation Europe, 1525–1600. Buffalo, N.Y.: University of Toronto Press.…

移動に関する文献

私の現在の最大の関心は、移動する人々にあります。そのため、そろそろ基本データを揃え始めたいところです。Dr. Otto Volkのゼミ教材で、中世の人々の移動に関する文献を網羅的な集めたリンクがありました。これは超便利です。http://online-media.uni-marb…

面白そうな本

極東書店のカタログで、個人的に面白そうだと思った本です。 Jason P. Coy, Strangers and Misfits: Banishment, Social Control, and Authority in Early Modern Germany, 2008. Christine Schedensack, Nachbarn im Konflikt. Entstehung und Beilegung vo…

宗派とデノミネーション

先週の10月3日に行われた第二回再洗礼派勉強会では、三人の報告者に報告をしていただきました。山本大丙さんは、「17世紀後半のオランダ改革派:バルタザール・ベッカー」という報告で、世界の脱魔術化・近代化と近世オランダ改革派との関係を詳細に検討され…

《批判的転回》以降のフランス歴史学

岩波の『思想』の8月号No.1012で、「《批判的転回》以降のフランス歴史学」という全5回予定の特集が始まりました。この特集は、小田中直樹先生が企画したそうです。ヨーロッパ史では珍しい大型企画で、景気の良い話だと思います。ただし、ネット上では、この…

中世末のドイツ都市の娼婦の人数

田中俊之「中世末期ドイツ都市共同体と周縁集団−娼婦の存在形態を中心に」(前川和也編著『ステイタスと職業―社会はどのように編成されていたか―』ミネルヴァ書房、338-361頁)に、Schuster による*1中世末ドイツ都市の娼婦の人数が紹介されていました。(350頁…

Beiträge zur westfälischen Familienforschung 2007

Band 65 / 2007 352 Seiten, zahlreiche Abbildungen und genealogische Tafeln, gebunden. – ISBN 978-3-402-13886-1; 38,00 €. Leopold Schütte:Bauer oder Landwirt?* – Die Bedeutung des Wortes Bauer, S. 7–16. Jochen Ossenbrink:Territorium, Besied…

Doopsgezinde Bijdragen 2007

オランダの再洗礼派専門の学術雑誌「Doopsgezinde Bijdragen」の目次が、「doopsgezinde historische kring」に掲載されていました。 Inhoudsopgave DB 33 (2007) Jelle Bosma, Redactioneel (7-9) Marius Romein, Hoe gebruikte Menno het Oude Testamen? (…

面白そうな文献

「極東書店」のカタログで面白そうだと思った本です。 Murray, Alexander, Suiside in the Middle Ages: The Violent against Themselves. 1, 2009. オリジナルは1999年出版で、こちらはペーパバックだそうです。 McGowan, Margaret M., Dance in the Renais…

『世界ホームレス百科事典』

なんと、『世界ホームレス百科事典』という事典があるそうです。非常に欲しいのですが、お値段を見て諦めました。世界ホームレス百科事典作者: 駒井洋,デーヴィッドレヴィンソン出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2007/11/30メディア: 単行本 クリック: 6回…

阪大『パブリック・ヒストリー』秋田 茂「グローバルヒストリーの挑戦と西洋史研究」

大阪大学の『パブリック・ヒストリー』電子版で、秋田茂先生の「グローバルヒストリーの挑戦と西洋史研究」という論考がpdfで読めます。http://www.let.osaka-u.ac.jp/seiyousi/info-1-2.html2006年の日本西洋史学会の公開講演「世界史とヨーロッパ史」でお…

Sergei Nefedov, A Theory of Demographic Cycles and the Social Evolution of Ancient and Medieval Oriental Societies (translation)

カリフォルニア大学のeScholarship Repositoryに、Sergei Nefedovの「A Theory of Demographic Cycles and the Social Evolution of Ancient and Medieval Oriental Societies」の英訳がありました。中東、中国、インドなどを比較しながら、人口の増減と社会…

セバスチアン・フランクの『諺集』がGoogle Bookで読める

16世紀を代表する神秘主義者セバスチアン・フランクの『諺集』(Sprichwörter, schöne, weise Klürgredenn : darinnen teutscher und anderer spraachen Höfflicheit, zier, höhste vernunfft un klügheit, was auch zu ewiger und zeitlicher Weißheit, tuge…

移動する女性

前近代社会にも、移動する人々が溢れていたことは、L. フェーブルが指摘したとおりです。(参考)Peter Ketsch によれば、都市の租税記録に、独り身の女性が継続的に出てくることは稀であり、多くの女性は食い扶持を探すためにその街を去ったり、未亡人の場…

Digitaal Vrouwenlexicon van Nederland

Els Kloekさんが指揮する「Digitaal Vrouwenlexicon van Nederland」(ネーデルラント女性事典)も、面白そうです。http://www.inghist.nl/Onderzoek/Projecten/DVNミュンスターの包囲を解くべく、ユディトとなりて司教を殺害に赴いた女傑ヒレ・ファイケンの…

Els Kloek

ユトレヒト大学のEls Kloek さんは、オランダ近世の女性史を専門にしていると言うことで、面白そうな論文を色々と書いているようです。 'The Dutch case: a critical survey of the history of childhood in the early modern age, especially in the Nether…

では、どうしたら良いのか?

羽田先生も、下田先生も、現在の実証水準は上がっているが、極度に細分化され、全体の見通しが立たない状況に対し危惧や疑問を抱いているように思います。では、何故このような細分化や視野狭窄が生じるのでしょうか?その理由は、主に教育と制度によるので…

歴史学界に対する問題提起

「回顧と展望」の「歴史理論」の項で、羽田正先生は、現在歴史学を専攻する学生数が減っており、グローバルCOEに歴史研究を主体としたプログラムがなく、歴史書の売れ行きが芳しくないと、歴史学が学生からも、行政からも、一般読書人からも魅力や社会的意義…

ビザンツ史研究の問題点

一年に一度、日本の歴史学を概観するための貴重な機会となっている「史学雑誌 第117編 第5号」の「2007年の歴史学界−回顧と展望−」ですが、今年はビザンツ中世史で重大な問題提起がされていました。 「回顧と展望」記事の執筆はきわめて重い仕事であるが、評…

宗教改革とお金の問題

Den Himmel kaufen. Heilskommerzielle Perspektiven des 14. bis 16. Jahrhunderts, in: Jahrbuch für Biblische Theologie 21 (2006)ベルント・ハムのこの論文は、贖宥状批判に関する以下の論文と合わせて、宗教改革研究者必読論文になっている予感が。Win…

男女間の争いをテーマにしたシンポジウム

Arbeitskreises Geschlechtergeschichte der Frühen Neuzeit (AKGG-FNZ)が、11月にシュトゥットガルトで男女の争いをテーマにしたシンポジウムをやるそうです。報告申し込みは終わってしまいましたが、面白そうなシンポジウムなので、ドイツ在住の方が参加…