ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

研究

時間選好に関する論文

エインズリーの『誘惑する意志』で有名になった双曲割引の基づく時間選好ですが、日本でも色々論文があるようです。CiNiiで「時間選好」で検索すると36件が引っかかります。Wikipediaでも、「Intertemporal choice」の項があります。 和田,良子, 異時点間の…

日本の学術雑誌の存在意義は?

「Copy & Copyright Diary」さんで、「苦戦する日本の学術雑誌」という記事がありました。どうも理系では、海外の有力雑誌に載せないと業績にならないということで、国内の学術雑誌への投稿数が減り、存続の危機に陥る雑誌もあるそうです。http://d.hatena.n…

マルチエージェント・シミュレータ

「Future of Government」さんで、「靖国問題をゲーム理論で解く 」という記事が載っていました。http://hidemarunba.at.webry.info/200608/article_9.htmlその中で、「マルチエージェント・シミュレータによる社会秩序変動の研究」というサイトが紹介されて…

面白そうな本

極東書店のカタログで、個人的に面白そうだと思った本です。 Jason P. Coy, Strangers and Misfits: Banishment, Social Control, and Authority in Early Modern Germany, 2008. Christine Schedensack, Nachbarn im Konflikt. Entstehung und Beilegung vo…

面白そうなグローバルCOEプログラム

グローバルCOEプログラムの中で、個人的に面白そうだと思ったものを挙げてみます。 コンフリクトの人文学国際研究教育拠点 (大阪大学) 心の社会性に関する教育研究拠点 (北海道大学) 共生のための国際哲学教育研究センター (東京大学) 格差センシティブな人…

Shorebirdさんで、社会科学に対する挑戦の書が紹介されていた

詳細な読書ノートをブログ上で掲載してらっしゃるid:shorebirdさんですが、今度はJerome H. Barkowの『Missing the Revolution: Darwinism For Social Scientists』の読書ノートを始めるようです。この本は、進化生物学者から社会科学者に対し、進化生物学の…

移動する女性

前近代社会にも、移動する人々が溢れていたことは、L. フェーブルが指摘したとおりです。(参考)Peter Ketsch によれば、都市の租税記録に、独り身の女性が継続的に出てくることは稀であり、多くの女性は食い扶持を探すためにその街を去ったり、未亡人の場…

宗教改革とお金の問題

Den Himmel kaufen. Heilskommerzielle Perspektiven des 14. bis 16. Jahrhunderts, in: Jahrbuch für Biblische Theologie 21 (2006)ベルント・ハムのこの論文は、贖宥状批判に関する以下の論文と合わせて、宗教改革研究者必読論文になっている予感が。Win…

男女間の争いをテーマにしたシンポジウム

Arbeitskreises Geschlechtergeschichte der Frühen Neuzeit (AKGG-FNZ)が、11月にシュトゥットガルトで男女の争いをテーマにしたシンポジウムをやるそうです。報告申し込みは終わってしまいましたが、面白そうなシンポジウムなので、ドイツ在住の方が参加…

文献

Politics and Reformations: Communities, Polities, Nations, and Empires. Essays in Honor of Thomas A. Brady, Jr., Edited by Christopher Ocker, Michael Printy, Peter Starenko, and Peter Wallace Urszula Szulakowska, The Sacrificial Body and t…

東アジア人は背景を見るが、北米人は人を見る。

「南山宗教文化研究所「科学と宗教」プロジェクトBLOG」で、WIREDの文化心理学に関する面白い記事が紹介されていました。 「東アジアの人のほうが、より全体に注意を向け、人間を他者との関係の中で捉えるようだ」と、論文執筆者の1人である増田准教授はプレ…

山岸俊男の論文とインタビュー

日本の社会的ジレンマ研究の第一人者である山岸俊男先生のサイトで、過去に発表された論文がpdfファイルでダウンロードできます。 審査付き論文 紀要論文 また、「日刊イトイ新聞」で、長文のインタビューがありました。 信頼の時代を語る。山岸俊男さんの研…

北海道大学の社会心理学のCOE

山岸俊男先生が率いるCOEのサイトで、膨大な研究成果を見ることが出来ます。 グローバルCOE「心の社会性に関する教育研究拠点」 21世紀COE「心の文化・生態学的基盤」 北海道大学社会科学実験研究センター また、北大の若手研究者による以下の論文集は、歴史…

久慈利武氏による合理的選択理論のサーベイ論文

三重大学紀要に掲載された久慈利武氏の諸論文をインターネット上で読むことが出来ます。(リンク)ジェームズ・コールマンの『社会理論の基礎』についての記述です。 このような相互依存の分析を、社会学の研究対象である非市場的・非貨幣的な相互行為一般につ…

伊勢田哲治氏の諸論文

伊勢田哲治氏のサイトでは、これまで公表されたかなりの論文を読むことが出来ます。個人的に関心があるのは、以下の諸論文です。 「ベイズ主義の社会化はいかにあるべきか - リーバイのモデルの検討を通して -」 「認識論における非個人主義的内在主義」 「…

岩波講座哲学第11巻「歴史/物語の哲学」

歴史/物語の哲学 展望 歴史を書くという行為―その論理と倫理 野家啓一 I 歴史というトポス 1 西欧(オクシデント)の歴史意識 三島憲一(東京経済大) 2 「オリエント」の歴史意識 大塚和夫(東京外語大) 3 歴史の必然性について 北川東子(東京大) 4…

ノルベルト・エリアスの「図柄」と「定着者と部外者」

このあたりを考えるための参考になればと期待。 「図柄figuration」という概念を、人間の相対的自立性と相対的依存性をその相互関係のなかで捉えるために用いる。このモデルを借りることで、相互依存関係の鎖の内部における個々の個人が持つ自由に決定できる…

内集団と外集団の境界はいかに引かれるか

内集団と外集団の境界は、一つの集団を考えた場合には自明ですが、実際の社会ではそう簡単には境界線を引けないことも多いです。というのは、複数の集団がより大きな集団を作ったり、ある集団の成員が各々他の様々な集団に所属することもあるからです。この…

Matthias Meinhardt (Hg.): Die Sozialstruktur und Sozialtopographie vorindustrieller Städte.

Matthias Meinhardt / Andreas Ranft (Hg.): Die Sozialstruktur und Sozialtopographie vorindustrieller Städte. Beiträge eines Workshops am Institut für Geschichte der Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg am 27. und 28. Januar 2000 (= Ha…

医療人類学の仮定法化

「伊藤智樹の書評ブログ」の「『医療・合理性・経験――バイロン・グッドの医療人類学講義』バイロン・J・グッド(江口重幸・五木田紳・下地明友・大月康義・三脇康生訳)(誠信書房)」で「仮定法化」という面白い考え方について紹介されていました。 彼の物語…

Hans-Jürgen Goertz, Radikalität der Reformation. Aufsätze und Abhandlungen

宗教改革急進派研究の碩学ハンス−ユルゲン・ゲルツの論文集が出たそうです。既読の論文も多そうですが、重要論文が並んでいるので、再洗礼派研究者にはマストなアイテムですね。 Hans-Jürgen Goertz Radikalität der Reformation Aufsätze und AbhandlungenF…

双曲割引は進化論的にどう説明されるか

id:Shorebirdさんのブログで、エインズリーの『誘惑される意志』についての日記が上がっていました。その中で、双曲割引がどのように進化論的に説明できるかの仮説が書かれていました。 ありそうなのは,個人の効用の評価関数が不安定だということだ.今欲し…

「社会心理学研究」がCiNii で読める。

「社会心理学研究」が、CiNiiでPdf で公開されています。超便利。ありがたいです。目次は、日本社会心理学会のサイトで見れます。(リンク)文化心理学の代表的研究者である北山忍さんの以下の書評論文は、ゲーム理論と歴史学の関係を考えるためにも、非常に…

Role of Intermittency in Urban Development: A Model of Large-Scale City Formation

ザネットとマンルビアは、都市の規模の分布がべき乗則に従っており、そのような分布は、第一に一年間の人口変化は比較的ランダムであること、第二にある都市における一年間の人口変化の数は人口そのものに比例するという二つの性質で説明できることを明らか…

再洗礼派女性の史料を画像で公開

「doopsgezinde historische kring」で、再洗礼派女性の史料が画像で公開されているサイトが紹介されていました。「Women in the Picture」では、テーマ毎に分かれた様々な史料の画像が公開されています。オランダ語だけではなく英語の解説も付いているので…

マーク・メザールとブショーの貧富の格差の原因を説明した論文

マーク・メザール氏のサイトの発表論文一覧で、彼が発表した論文が読めます。貧富の差が生まれる理由、つまり資産の分布がべき乗則に従う理由を明らかにした次の論文も、pdfファイルで読めてしまいます。私は数学が分からないのでさっぱりですが。"Wealth co…

カルヴァン生誕500周年記念に新ウェブサイト誕生

「世界キリスト教情報」さんより。カルヴァン生誕500年記念で特別サイトが作られたそうです。ヴェーバー研究者も注目かもしれませんね。 ◎カルヴァン生誕500周年記念に新ウェブサイト誕生 【ジュネーブ=ENI・CJC】スイス・プロテスタント教会連…

CALL FOR PAPERS: Mennonites and Money: Wealth and Poverty in the Past and Present

「メンノー派とお金」をテーマにしたシンポジウムをやるようです。12月1日が締め切りらしいので、我こそはと思う方は応募してみてはいかがでしょうか。 October 11 & 12, 2008 Eckhart Gramatte Hall University of WinnipegHosted by: The Chair in Menn…

17世紀の寺子屋

久しぶりにWunder, Heide, Er ist die Sohn, sie ist der Mond. Frauen in der Frühen Neuzeit, München 1992. を読み返しているのですが、この本の中で、Winkelschule についての記述がありました。(S. 124)ヴンダーによると、手工業者の妻はお金を扱わなけ…

人類の格差を考察した『銃・病原菌・鉄』の著者に聞く(上)(下)

Wired で、ジャレド・ダイアモンドのインタビューがありました。 人類の格差を考察した『銃・病原菌・鉄』の著者に聞く(上) 人類の格差を考察した『銃・病原菌・鉄』の著者に聞く(下) WN:現在、さまざまな角度から研究をまとめていく研究者が増えているよう…