ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

2006-01-01から1年間の記事一覧

あなたは、信仰ではなく、財産を求めている。

今読んでる史料は、カトリックの学校教師が書いたと見なされている詩です。内容は、ほとんど延々と罵詈雑言が続いているという感じで、本当に酷いです。福音派と再洗礼派は、異端だとか涜神者だとか、反乱者だとか、盗人だとか、裏切り者だとか、延々と罵倒…

日本の核兵器所有をめぐる法的見解

最近日本の核兵器保有について議論があるようですが、とりあえず議論の前提となる法的な位置付けについてメモしておきます。先ず、日本政府の核兵器使用についての見解。 1994年 6月11日 朝日新聞 丹波実・外務省条約局長に聞く ――問題の波紋をどう受け止め…

アラン・コルバンが日本で集中講義

フランスの超大物歴史学者アラン・コルバンが、なんと立命館大学で集中講義をするそうです。すげえな、おい。大変刺激的な講義になることは容易に予想されるので、誰か詳細なレポートをアップしてくれないかなあと密かに期待しております。立命館大学 2006年…

スイス史、宗教改革史合同研究会

この日は、日本女子大学で、スイス史研究会と宗教改革史研究会の合同で、研究会が行われたので行ってきました。今回は、日本を代表する農民戦争研究者である前間良爾先生が、「グラウビュンデンにおける農民戦争と宗教改革」という発表を行いました。スイス…

一般意志

宮台:一般意志は、個人意志の集計じゃない。万人の合意じゃない。誰もがそう思うということじゃない。ルソー的にいえば、国民全員が出席する集会のごとき「祭り」の結果生じるもの。デュルケーム的にいえば「集合的沸騰」の結果生じるもの。ようは、自分が…

<お歳暮調査>平均件数3.5件 ピーク時の半分に

味の素ゼネラルフーヅが25日発表した「お歳暮意識調査」によると、今年お歳暮を贈る予定の件数の平均は3.5件で、調査を開始した83年以降、最低になった。ピークだった89年の6.9件から半減しており、仕事上の儀礼的な付き合いを避ける傾向が強ま…

山中弘「宗教社会学の歴史観」

今日はダルくてやる気がでなかったので、研究と関係ないものでも読んで楽しむかと思い、山中弘「宗教社会学の歴史観」(『岩波講座宗教3 宗教史の可能性』岩波書店、2004年、107-129頁)を読みました。この論文では、イギリス(?)の研究者による「世俗化論」の…

図書館の史料が売却される?

Narrenstein さんのところで、バーデン−ヴュルテンベルク州立図書館の史料が売却されるかもしれないという、ちょっとあり得ない話が紹介されていました。史料が散逸したり、個人蔵になったりすると史料が使えなくなりますし、どこかの図書館や文書館にまとめ…

苦情書は反乱者の意志を伝えるか?

「一五二五年のドイツ農民戦争時の叛徒の諸要求は、より信頼できるかたちで残存している。それらは叛乱の理由を公に知らせるためにそのときに印刷されたからである。しかしそれでも問題は残る。それらの要求箇条がどのようにして作成されたかが知られていな…

イスラムの宗教的指導者達が、教皇ベネディクト16世に公開書簡を寄せる。

先程は、教皇の失言で、多くのムスリムが怒ってしまったわけですが、10月12日付けでイスラムの宗教的指導者達が、教皇ベネディクト16世に公開書簡を送ったそうです。この手紙は、教皇を糾弾するものではもちろんなく、カトリックとイスラム双方の指導…

ドイツのエリート大学決定

政府が、ドイツの大学が国際的な競争力を失ったことに危機感を募らせていたせいでしょう、政府が、幾つかの大学に集中的に資金を投入するようです。(FAZ)(「三つの柱」) 選考を通過したのは、TU München、TU Karlsruhe、Ludwig-Maximilians-Universität Mü…

考古学はどう検証したか

考古学はどう検証したか―考古学・人類学と社会作者: 春成秀爾出版社/メーカー: 学生社発売日: 2006/09/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る朝日新聞でインタビュー記事が出て、非常に興味が湧きました。 学説の誤りひるまず…

学術論文のための著作権Q&A―著作権法に則った「論文作法」

学術論文のための著作権Q&A―著作権法に則った「論文作法」作者: 宮田昇出版社/メーカー: 東海大学出版会発売日: 2005/08/01メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る これは、読まねばならない本のような。

文化多元主義と多文化主義と保苅実

ラディカル・オーラル・ヒストリー―オーストラリア先住民アボリジニの歴史実践作者: 保苅実出版社/メーカー: 御茶の水書房発売日: 2004/09メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 37回この商品を含むブログ (57件) を見る 「実践者と研究者のあいだで」(はか…

下層民は、必ず社会革命を志向するか?

旧来の研究では、ミュンスター再洗礼派運動において下層民が多かったかという問題は、そのまま、再洗礼派運動が社会革命だったか、宗教運動だったかという問題と同一視されてきたというところがあります。これは、下層民による反乱を、マルクス主義的に解釈…

歴史を知らないと、遠回りする。

アラン・ケイ氏のインタビューを読みました。(成城トランスカレッジ!経由)面白い。 (Altoを生み出した)パロアルト研究所は'70年代には多くの発明を生み出す有名なコミュニティだった。面白いのは過去約25年間、その発明がみな、再発明されていることだ。 …

一致モデルと対立モデル

ピーター・バークの『歴史学と社会理論』によれば、社会についてのモデルの重要な二項対立の一つに、デュルケームを代表とする一致モデルとマルクスを代表とする対立モデルがあるとのことです。(40頁) しかし、言うまでもなく、この両者は補完関係にあり、相…

コンピューターミュージック

ここしばらくエレクトリックな音楽が、自分にとって最もジャストな感じがするのですが、これは何故かと考えた場合、やはりMP3 で音楽を聴いているというハードウェア的な要因によるのではないかと思います。MP3 の音は薄っぺらくてクリアなので、打ち込みの…

I wish I was a punk rocker

本日は大変お日柄も良く、気温も適度で、絶好の行楽日和となりました。皆様方も、各々楽しい休日を過ごしていることと思います。誠に慶賀に堪えません。翻って己を鑑みると、薄暗い部屋で、いつもと同様に文献を読んでいるので、晴れも休みも知ったことじゃ…

ベネディクト16世の講義の日本語訳

色々な国で炎上を引き起こしてしまった、教皇ベネディクト16世の問題の講演が日本語訳されました。 教皇ベネディクト十六世のレーゲンスブルク大学での講演 講演を読むと、すでに色々なところで指摘されているように、信仰は、暴力によって強制するのでは…

岡村淳監督「第三世界の環境都市ブラジル・クリチバの挑戦」と「緑の砂漠か緑の再生か ブラジルのユーカリ植林と日本」

仙台国際センターで、仙台国際センターまつりが行われたので、行ってきました。このまつりでは、色々な国の店が出たり、ワークショップがあったり、イベントがあったりしました。その中で、ドキュメンタリーの上映会があったので、行ってきました。私が見て…

日本宗教学会第65回学術大会

日本宗教学会第65回学術大会のパネルディスカッション「宗教における『語りえぬもの』と『示しうるもの』」を聞いてきました。私は会場でレジュメをもらえず、なおかつきちんと発表内容を理解できたと言い難いので(門外漢には、大変難解な発表が多かった…

教皇の失言?

教皇ベネディクト16世が、イスラムの開祖を貶めると解釈されかねないようなことを言ってしまい、案の定世界中で炎上祭が起きているようです。私は、まだ事情を良く把握しませんが、とりあえず、FAZ の記事をクリップしておきます。「Merkel verteidigt den…

クリチバ

世界のまちづくり見聞録「クリチバ」 Wikipedia「クリチバ」 都市設計が凄いとの評判のクリチバです。ヴァンダレイ・シウバも、クリチバ出身だったのか!!

フランスとドイツの政教分離

Chorolynさんが、またもやどえらい詳細な本の紹介をしていました。谷川稔『十字架と三色旗‐もうひとつの近代フランス‐』この本は、革命期以降のフランスの「ライシテ Laïcité =非宗教性」の過程を扱ったものらしいです。 フランスは非常に厳格な政教分離を…

面白そうな文献

紀伊国屋書店の洋書カタログを見ていたら、面白そうな本が色々とありました。読む暇はないわけですが、メモしておきます。 Templin, J. Alton, Pre-Reformation Religious Dissent in the Netherlands, 1518-1530, 2006 King, Margaret (ed.), Other Voices:…

ミニマルな記述

ケルゼンブロッホの年代記には、宗教改革運動の最中の市当局と司教や諸身分などの手紙が、延々と引用されています。その中で、彼らは自分たちの身に起こったこと、そして司教が行ったこと、それに対する不平を述べているのですが、別々の相手に出した手紙で…

フランス革命期における女性

Chorolynさんが、ミシェル・ヴォヴェル『フランス革命と教会』を詳細に紹介していました。私が気になるのは、やはり自分の研究と関わる、社会運動における女性の役割です。 それでは逆に、非キリスト教化運動への抵抗はどこまでわかるのか?多くは、女性がか…

阿部謹也先生死去

今年の春に、フランス社会史の第一人者の二宮先生が亡くなりましたが、今度は社会史を世の中に広めた最大の功労者である阿部謹也先生が亡くなってしまいました。一般向けの本を沢山お書きになり、社会史の面白さを多くの人々に知らしめた先生の功績は、本当…

統計学と確率論と集合的沸騰

人間の条件 (ちくま学芸文庫)作者: ハンナアレント,Hannah Arendt,志水速雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1994/10/01メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 105回この商品を含むブログ (158件) を見る 統計学の法則が有効なのは、対象が多数あるいは長期の…