ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

 自己啓発、ニューソート、スピリチュアル関連文献

牧野智和『自己啓発の時代』読んだ。1990年代から2000年代にかけて、以前は不可視だった内的世界を技術的な働きかけの対象と見なそうとする「内面の技術対象化」が起こったこと、自己啓発メディアが自己をめぐる再帰性を止める基底的参照項をを示しているこ…

ルーサー・ブリセット『Q』リンク集

ルーサー・ブリセット著、さとうななこ訳『Q 上』東京創元社、2014年 ルーサー・ブリセット著、さとうななこ訳『Q 下』東京創元社、2014年 今年日本で邦訳された『Q』は、イタリアの匿名集団が無名のサッカー選手の名前を使って書いた長編歴史小説だ。イタリ…

メノー派と戦争とナチス

19世紀になるとドイツのメノー派は愛国的になってきて、多くの者が国家のための戦争を肯定し、兵役に就くことに抵抗感を感じなくなってきたようだ。さらには、ヒトラーやナチスを支持する者もいたそうだ。メノー派と戦争やナチスとの関係については、少し調…

公開講演会「近世・近代ヨーロッパにおけるキリスト教の革新と新展開」9月27日(土)14時〜

9月27日に仙台の公開講演会でお話させていただけることになりました。無料ですので、ご関心ある方はぜひお越し下さい。公開講演会「近世・近代ヨーロッパにおけるキリスト教の革新と新展開」日時 2014年9月27日(土)14:00 〜 16:00 会場 東北大学川内キャ…

第16回再洗礼派勉強会 9月15日(月)

第16回再洗礼派勉強会 日時:2014年9月15日(月)13時〜 場所:早稲田大学戸山キャンパス36号館3703教室 地図:http://www.waseda.jp/jp/campus/toyama.html *13時に戸山キャンパス正門入り口に集合。(祝日で構内に自由に入れないため) *参加希…

世界中に広がるメノナイト「Global Mennonite History Series」

現在私は他の若手研究者といっしょに、新教出版社の雑誌『福音と世界』で、「旅する教会―再洗礼派と宗教改革」という連載をやっています。私の専門は16世紀のミュンスター再洗礼派運動ですので、初期の再洗礼派についてはそれなりに文献を読んでいました。し…

ヘーゲルがミュンスター再洗礼派はファナティストだと言ってたそうです。

今日は休みにしたので、以下の論文を読んだ。ちなみに無料でpdfをダウンロードできます。 神山伸弘「宗教的ファナティズムの非インド的想定 : ヘーゲル『法の哲学』第五節とミュンスター再洗礼派王国―」『跡見学園女子大学人文学フォーラム』12、2014年、52-…

宗教改革を研究したい場合先ず何を読めば良いのか?

月一回歴史学の専門家が歴史について楽しく語るUSTREAM番組「せんだい歴史学カフェ」で、「ナツイチ!この夏歴史学に乗り出すためのビブリオバトル」という企画をやっていました。これは、歴史学をこれから本格的に学ぼうとする学生に、色々な本をおすすめし…

コールンヘルトと矯正の家

ゲレメク『憐れみと縛り首』平凡社、1993年 をぺらぺらと適当に読み返していたら、16世紀オランダの人文主義者ディリク・コールンヘルトが、1587年の論説で、「社会政策を懲罰的に応用して自由の剥奪と矯正労働とを連結しなければならないと述べている。」(…

聖礼典復興運動としての初期メソジズム

野村誠『ウェスレーの神学思想 18世紀英国民衆とメソジズム』白順社、1998年 第1章を読んでみた。ニーバーによれば、18世紀のイングランドでは、上流階級による理神論、敬虔主義、懐疑主義、合理主義が支配的で教会生活は停滞し、宗教的に疲労していた。(13…

宗教都市ラカウの創建と破壊

H. カメン著、成瀬治訳『寛容思想の系譜』平凡社、1970年、164頁に、ポーランドの反三位一体論者のグループであるソッツィーニ派が、1569年にラカウ Raków という新都市を建設し、彼らの宗教上の首都にしたと書いてあった。Kaplan, Divided by Faith, p. 255…

近世寛容論における本質的なことがらにおける一致とそれ以外のことがらの容認

H. カメン著、成瀬治訳『寛容思想の系譜』平凡社、1970年 寛容思想について扱った古い文献だが、大変勉強になる。この本の中で、エラスムス以降の寛容論で、少数の本質的なことがらで一致していれば、それ以外の様々な教義や慣行の不一致は不問にすることで…

シュヴァルツェナウの新洗礼派と再洗礼派

ハンス・シュナイダー著、芝田豊彦訳『ドイツにおけるラディカルな敬虔主義』関西大学出版会、2013年 この本によれば敬虔主義の中にも、信仰洗礼を行う新洗礼派(Church of the Brethren)という集団があったそうだ。(104-111頁)ヴィトゲンシュタイン伯領…

ウェスレー、英国国教会、敬虔主義者と東方の霊性

清水光雄『ウェスレーの救済論 西方と東方キリスト教思想の統合』教文館、2002年 神学の研究書なので、私にはきちんと理解することが難しいが、「第1章 最近のウェスレー研究動向」を読むと、この本のタイトルにあるように、近年のウェスレー神学は、カトリ…

再洗礼派の中のアウグスティヌス的伝統

東方正教から見れば、カトリックもプロテスタントも共にアウグスティヌス的伝統を引き継いでいるのならば、果たして西方の再洗礼派にとってアウグスティヌスの神学はどのような意味を持つだろうか。ロバート・フリードマン著、榊原巌訳『アナバプティズムの…

『ルター研究』数号がオープンアクセスに

雑誌『ルター研究』の中に、オープンアクセスで読める号がある。http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN10212002_ja.html

東方正教から見た義認論

以下の論文を読んでみた。無料で読むことができる。・鈴木浩「少し長めの前書き、あるいは、義認論をめぐる環境の変化」『ルター研究』9、2004年、5-19頁。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110000991340この論文は、現代の義認論をめぐる環境の変化を、三つの観点…

性的な道祖神

稲荷講について調べる際に、図書館にあった様々な民俗関連の本を眺めていたのだが、その際に『相模の道祖神』平塚博物館、1999年という本があった。平塚市博物館で1999年に開かれた秋期特別展「相模の道祖神(さいのかみ)」の展示解説図録として作られたそ…

何故平塚の家の庭には祠があるのか?

平塚に海を見に行ってきた。ついでに、平塚八幡や八幡山公園に寄った後、平塚市立図書館に行ってきた。お目当ては、市立図書館3階の郷土資料コーナーだ。何故平塚の郷土資料を見たかったかというと、平塚の個人宅にある小祠について知りたかったからだ。以前…

第15回再洗礼派勉強会 2014年1月11日(土)

第15回再洗礼派勉強会日時:2014年1月11日(土)13時〜 場所:早稲田大学戸山キャンパス36号館3811教室 地図:http://www.waseda.jp/jp/campus/toyama.html 内容予定 ・読書会:オランダとミュンスターの再洗礼派:Chapter Six. Klötzer, Ralf, The …

永本哲也「 1534年2月下ライン地方における宗教改革思想・再洗礼主義の伝播 〜ヤコブ・フォン・オッセンブルクによるミュンスター再洗礼派の宣教分析を通じて〜」紹介

今年、永本哲也「1534年2月下ライン地方における宗教改革思想・再洗礼主義の伝播 〜ヤコブ・フォン・オッセンブルクによるミュンスター再洗礼派の宣教分析を通じて〜」という論文を『エクフラシス』3、2013年(161-177頁)に掲載していただきました。論文が…

ケルン市歴史文書館の再建規模縮小と移転反対の署名のお願い。

2009年に倒壊したドイツのケルン市歴史文書館の再建計画ですが、再建規模の大幅縮小と史資料の市外保管が検討されているそうです。現在、ドイツでこの文書館再建計画の改悪に反対する署名活動が行われています。ケルン市歴史文書館は、極めて重要な史資料を…

アカデミックモブ、はじめました。

アカデミックモブとは、誰かが時間と日時を指定して呼びかけて、そこに集まった人たちがアカデミック雑談をするという、お手軽な集会です。 私は、仙台で「仙台哲学カフェ」という、人々がカフェに自由に集まって色々なテーマについて話し合うというイベント…

東急セミナーBE二子玉川校4月講座「見方がかわる世界史 〜ヨーロッパはいかにして成立したか〜」

カルチャースクール東急セミナーBE二子玉川校で、「見方がかわる世界史 〜ヨーロッパはいかにして成立したか〜」という講座を始めることになりました。教科書や年表には載っていないエピソードや時代の流れをひとつのテーマを切り口にして丁寧にお教えします…

第14回再洗礼派勉強会 2013年1月13日(日)13時〜

第14回再洗礼派勉強会日時:2013年1月13日(日)13時〜 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館804会議室 地図:http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html 内容予定 津田真奈美「バプテスト成立における“The Engaged Piety”」(仮) 読書会:…

第13回再洗礼派勉強会 8月18日(土)13時〜

第13回再洗礼派勉強会 日時:2012年8月18日(土)13時〜 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館804会議室 地図:http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html 内容予定 猪刈由紀「God/Gottをどう日本語に訳すか―K.ギュツラフ(1803-1851)とB.ベ…

USTREAM番組「せんだい歴史学カフェ」 第7回「○○さんからお手紙届かなかった」放送予定4月24日(火)21〜22時

USTREAM番組「せんだい歴史学カフェ」 第7回「○○さんからお手紙届かなかった」 放送予定日:4月24日(火)21:00〜22:00 「せんだい歴史学カフェ」は、仙台からお送りするUSTREAM番組です。 主に西洋史を研究している若手研究者有志が、歴史学の面白さをわ…

2012年4月15日 第12回再洗礼派勉強会 於:早稲田大学

日時:2012年4月15日(日)13時〜 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館804会議室 地図:http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html 内容予定 ・読書会:「モラヴィアとシュレジアの再洗礼派」 Chapter Five. Martin Rothkegel, Anabaptism in…

USTREAM番組 せんだい歴史学カフェ第6回「○○さんからお手紙ついた」3月21日(水)21〜22時

USTREAM番組「せんだい歴史学カフェ」 第6回「○○さんからお手紙ついた」放送日:3月21日(水)21:00〜22:00 「せんだい歴史学カフェ」は、仙台からお送りするUSTREAM番組です。東北大学で西洋史を研究している若手研究者5人が、歴史学の面白さをわかりやす…

せんだい歴史学カフェ全話再放送 3月14日(水)19時〜24時

せんだい歴史学カフェ全話再放送 放送日:3月14日(水)19時〜24時 これまで放送してきた第1話から第5話までの放送を、全話一挙に再放送します!!放送時間になったら、見たい回のリンクをクリックして下さい。 第1回「面白い研究あります」 http://www.ustr…